第2話 御法
「お願いしま〜す。煙草吸ってるよ。」
「あ、ありがとうございます!」
………
「…チラッ!斎庭さん!飾り始めちゃって大丈夫ですか?」
「いいよ。俺も行く。」
コイツは、百合野 御法(ゆりの みのり)
12月11日生まれ、25歳、子年、独身、
都内在住、特技は『エンドクレジットを見なくてもキャラクターの声を聞けばだいたいの声優を当てることができる』だ。
元々は俺たちと同じ我が社の葬祭部に所属しておりいずれは葬祭ディレクター資格を取って担当者として育っていく予定だったそうだ。しかし葬祭部は肌に合わなかったらしく生花部に異動することになり現在に至る…というわけだ。
俺とは接点のないホールの所属だったため、彼女が葬儀屋だった頃の様子を俺は知らない。他ホールへの応援に行ったことがあった俺の部下の賢木(さっき事務所にいたうるせぇ奴)は一緒に仕事したことがあるため俺に自慢げに話してきやがる。
余談だが、歳の離れた弟がいて現在2人でルームシェアして暮らしているらしい。しかもその同じアパートの同じ階の隣には同じく生花部に所属する幼馴染 兼 職場仲間が暮らしている。これもちょっと俺的に気にかかっている案件だ。
「どんな風に飾りますか?」
「適当にやってくれればいいよ。今日は何時頃までいられる?通夜ないけどお客様お参りに来るから、そのときに確認してもらおうと思って。それまでは残ってて欲しい。」
「合点承知ですっ!仕事場に戻ってもこき使われるだけだから、ここで時間潰ししたいので←」
身長149㎝というちょうどいい小柄で華奢な身体。
胸は小さいがウエストは細くくびれがあり、いい尻をしている。こんな女が俺に興味を持って絡んでくるのだから、俺も興奮して眠れない。
よくまあこんな小さな腕で、大きな籠花を持ち上げられるものだ。
「…いいじゃん。あとお客様に聞いてみて、なにかあったら言うから。」
「ありがとうございます!…葵様、今日もかっこいいです!」
「っ!そんなことないよ。御法だけだよ、そんなこと言ってくるの。」
「そんなことないですよ!生花部のみんなもイケメンって言ってますよ。」
「言われないよ。御法だけだって。」
ついニヤニヤしてしまう。
「明日、花の残しは無しね。全部お花入れするって。片付け手伝うよ。」
「わかりました!ありがとうございます!」
………
「…明日も来るのか?」
「まだこの時間なのでわからないですけど、たぶん明日も私だと思います!
出棺は葵様だし、入れ替えの飾りは賢木さんだし、ここだったらいいなぁ〜♪」
「俺も御法だったら嬉しいなぁ。」
「葵様、エレベーターって密室ですよね…。」
「そうだね。」
「ドキドキしますね。」
「してますよ!ほら…」
「…!//////」
俺の手をそっととって、軽く自分の胸に押し当ててくる。
「…あ、着いちゃいましたね。」
「………」
…そういうところだよ!!/////
なにが着いちゃいましたねだ!これだからこの女は!俺を振り回す!
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