DBS作戦

第36話 泥沼

戦局は泥沼化していた。我々日本軍は重要拠点ではないものの、東南アジア方面の諸島を徐々にとられている状況になった。しかし、アメリカもそれ以上は日本が継続的に実行していた通商破壊作戦を恐れ補給船があまり出ていない始末だった。一進一退といえば聞こえはいいがただの無意味な戦いである。


世界でもまた同じだった。

同盟国であるイタリアはアフリカを獲得した代わりにイタリア本土の六割が占領される始末。ソ連は迂闊に兵を出そうものなら冬将軍の影響に遭うので動かせず仕舞い。

ドイツは電撃戦や徹底された補給線により圧倒的優位を保ち続けていた。しかし、総統閣下であるヒトラーが急逝してしまい、国内が大混乱に陥った。


連合国軍も悲惨であった。

イギリスは連絡網を開戦直後でズタズタにされた後、特に何もしなかったので他国との連携に大幅な遅延が発生していた。

フランスはドイツ、イタリア軍に惨敗した。今ではイギリスに亡命政府が建てられた。

オランダはイギリスの支援を受けイタリアの深くまで侵攻、占領した。しかし、補給線が伸びきっていまいイタリア本土防衛旅団に各個撃破されつつある。


一方中国は、世界どころではなかった。国共合作がうまくいかずに再び内戦が勃発した。親日派となった国民/社会党連合政府軍と反政府軍に分かれたのだ。政府軍は蒋介石や毛沢東などの有力人物がいるものの軍の規模は少ない。反政府軍は軍の戦力が弱すぎる(竹槍で戦っているものもいるらしい)。


世界的に泥沼に陥ってしまったのだ。しかし、どの国の世論も継戦の気運が高まっていた。どの国も王手まで後少しなのだ。


その混沌となった時代がしばらく続いた1947年1月。日本軍は戦争計画を協議していた。

アメリカに致命的打撃を与え降伏させるといったものだ。これは日独伊ソの4カ国同時攻撃であった。日本は太平洋、独伊ソは大西洋から上陸し海岸主要都市を占領し、一気に太平洋戦争を終わらすのだ。この戦争を終わらすには大国1つを黙らせるほかないのだ。


同年2月。作戦の協議のため秘密裏に4カ国会議が開かれた。これにより、正式な作戦が決定された。

作戦名は『DBS(Deadly batter strategy 致命的な打撃作戦)作戦』に決定された。

詳細は

・日本が太平洋方面の海軍担当。

・ドイツ軍の二割は日本軍上陸部隊と、残りは大西洋艦隊と共に上陸。

・イタリア軍は陽動作戦担当で海と陸どちらも行う。

・ソ連軍は半数が作戦参加。カナダの協力のもと北側から攻撃、一部はドイツ軍の支援に回り残りの半数で独ソの本土防衛(イタリアは彼らの合意のもと事実上の放棄)

となった。

日本は揚陸艦等などの造船担当でもある。資材は同盟諸国から大量に送られてきているので作り放題となっている。大型かつ機動力重視の大和魂製揚陸艦を生産ラインに乗せた。

旧式の戦艦はイタリア海軍に無償で譲渡され好意でピザの技術提供をしてもらった。


新型の戦艦の建造は全てキャンセルされ空母に改装されていった。超巡洋艦は全て特務航空母艦として改装され、航空戦艦は改装空母となった。新型戦艦などは据え置きとなったが51糎砲の有用性について見直された。その為、敷島や出雲は主砲が51糎砲を前後に1基ずつに削減し代わりに飛行甲板や対空兵装、VLSのセル数の増加や小型揚陸艦を搭載可能とした。


大和型空母は改装し高速装甲空母と改称された。速度だけ速くなったのだ。


他にも鹵獲艦の御嶽をベースに設計した御嶽級大型空母が量産化が始まった。装甲を減らしつつも構造強度はそのままの新設計を導入している。これを同盟諸国に買わせることにも成功している。こういうところで金は儲けていれば苦しい思いはしない。


そうして着々と作戦の準備が進んでいった。陸軍にもティーガー戦車の新型改良版が大量に輸入されてきた。ソ連製の安くて安定性の高い歩兵用の装備も大量輸入された。

日本国内ではイタリアからのお返しのピザが大流行し、気運が高揚していた。


枢軸国側の大規模作戦が今始まろうとしていた。

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