第34話 本土防衛戦略
先日の米軍爆撃に大本営を始めとした日本軍は本格的な本土防衛戦略を計画し始めた。パターンは本土全土に渡り大型電探と対空高角砲群で埋め尽くすパターン。他には洋上艦からの対空攻撃や、本土防空戦闘機隊の再編成などがあった。しかし、議論している暇がなかった。そのためとりあえず全てを導入し、それのうちどれが一番効果的だったかを決めることとした。
1944年11月6日 千葉海軍飛行場
千葉飛行場の空襲から少し経った冬であった。
そこでは今だにジェット機の試験、制作が行われていた。しかし、晴れ渡った空を黒い影が覆い尽くした。
『対空警報発令、これは演習ではない。繰り返す、これは演習ではない!』
黒い影は今までに見たことのない影であった。それは大型の飛行物体だった。
それは航空要塞、B29であった。
「ジョンソン少尉、目標を補足しました。」
「よし、全機、爆撃開始!」
B29の大型爆弾槽の蓋が開かれた。
100ポンド爆弾を100個搭載した動く要塞である。目標はもちろん飛行場である。
「新型を作る方が悪いんだよ!」
投下された爆撃は反応していた対空砲をも巻き込みながら滑走路を破壊していった。
それ故、発進体制の零戦部隊は壊滅し、発進した機も護衛の新型のP-51 『マスタング』に殲滅された。格納庫にあった秋水も爆撃により予備機含め全てが破壊された。隣の工廠も同様だった。
「悪く思うなよ、これが戦争だ!」
さらに、近くの民間施設や民家も爆撃していった。無差別爆撃であった。その爆撃には躊躇いはなかった。
「・・・了解した!戦闘機隊発艦急げ!」
防衛命令を受けたのは、そのころ横須賀に停泊していた飛龍であった。迎撃の戦闘機隊が発艦していった。これは紫電改IVで構成されていた。大型ロケットブースターも搭載されていた。そのため、アメリカ製のロケットブースターより早く、長い距離を飛べるのだ。あくまで最終兵器に変わりないのだが。飛び続けてしばらく経ち、戦闘空域に突入した。そこには高角砲の対空バブルが少ししかなかった。それも、やる気のない弾であった。防衛部隊も壊滅していたようだ。真下には燃え上がる民家が多くあった。
「くそっ!・・・手遅れだったか。全機、一機も本土から逃すなよ!」『了解!』
B29の対策方法として1対3でいけば落とすことができる、と言った説がある。これに乗っ取り彼らもその戦法をとった。
「死に晒せぇ!」
3機の紫電改IVの30ミリ機関砲が爆弾槽を穿つ。メインアタッカーは真下からアタックし爆弾槽を誘爆させるのだ。これにより手間を省ける。
爆弾は誘爆しB29を火球に変えた。しかし、それを見て他のB29は密集陣形を取り始めた。高度も同時に落ちていた。さらに悲報は続く。
『隊長!飛行場より連絡です!当基地に防衛能力既にあらず。近隣の対空施設も全滅している。とのことであります!』
もう千葉周辺には迎撃能力がないのだ。悲劇はまだ続く。
『第2小隊壊滅!』
今回の迎撃部隊は100機であった。それを20機ずつで分け、20機1小隊としていた。つまり、約20機が死んでいった。
「・・・あれか!」
そこには密集陣形からの対空タレット迎撃であった。紙装甲の日本軍機には有効であった。下にはマスタング、上からは対空タレット。何もできなかった。ただ地獄は2つあり、どちらかを選ぶだけはできるようだった。
「全機、3機攻撃を崩すな。全機急降下しろ!2機で1機を爆弾槽までエスコートしろ!」
『了解!』
紫電のロケットブースターが青い火を噴き上げる。依然としてこっちはB29の上を飛んでいた。しかし、急降下をすれば一気に火線が狂っていることがよくわかった。特攻でも仕掛けてきたのではと焦っているようだ。
そして、高速でパスする。
このブースターは逆噴射も一応できる。それをアタッカーは最大噴射し急激に速度を落とし、B29の真下にピッタリとくっつく。
「下の奴らの仇だ、悪く思うなよ!」
30粍機関砲が再び火を噴く。そして、また1機、2機とB29を落としていく。
気づけば千葉の県境にいた。その時既に
紫電隊は壊滅的打撃を受けていた。
もう戻っても殺され、攻撃しても殺される。
そんな絶望の淵に立たされていた。しかし、紫電隊隊長は笑みを浮かべていた。
「全機、ずらかるぞ!」
残ったブースターで爆撃隊から逃れる。戦略的撤退と一般には言われる。しかし、これは撤退ではなかった。退避だったのだ。
「目標、水平距離18000、高度3000。方角180、正面です!」
「了解した。攻撃今しばし待て。」
彼らは茨城特殊対空部隊であった。そこには、大型の大砲があった。
それは、41糎大型高角砲であった。弾種は全て三式弾だった。
「全基、発射可能!いつでもどうぞ!」
「よし、茨城魂ここにあり!放てぇ!」
41糎の高角砲群がB29を穿つ!
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