第19話 出雲計画、発動!
出雲計画、それは艦隊同士がまだ砲雷撃による攻撃のみだった時代の遺産である。
超大型弩級戦艦の大量建造、と言った計画である。これに加筆修正を加えたものが今日、俺の手元に渡ってきた。その計画の最低条件は
全長400メートル。全幅65メートル。
主砲、51糎四連装砲(A型)5基20門
副砲、15.5糎三連装砲改II 6基18門
長10糎連装高角砲改3型 20基40門
対空兵装、20粍高速対空機関砲(現代用語に置き換えるところのCIWSである)20基
50連装大型噴進砲8基
45粍大口径連装機銃40基
特殊兵装、後部甲板部多目的兵装格納庫
前部甲板部埋込式垂直発射式噴進弾装置 予備格納庫、発射装置分含め20組 40発
艦首特殊多目的兵装射出装置 2基
艦首61糎酸素魚雷発射装置 4基
艦最大速度、30ノット
といったものだ。明らかに頭がおかしいとしか思えない。まず大きさがおかしい。空母を超える大きさの戦艦だ。量産などは夢のまた夢、建造するかさえ怪しい。主砲は既に開発済みである。副砲も同様だ。しかし、現代の知識にあったCIWSを導入する気でいるようだ。ガトリングはできているが10ミリ口径なのだ。それ以上は砲身が焼けてしまう。それ以外の対空兵装は文句は言わない。しかし、1番度肝を抜かれたのは垂直発射式の噴進弾を装備しようとしているのだ。聞いたところによると、誘導可能らしい。まんまVLSである。建造されれば、チート級の戦艦だろう。更に耳を疑ったのは呉海軍工廠があのボロボロになった大和を利用させてくれればいつでも作れるそうだ。それも工期1年以内で。こんなのgoサイン出さないほうがおかしいに決まってる!そんな思いで了承印を押した。
この日は1942年、12月22日。
出雲計画ではもしかしたらバレるかもしれないので、第22号計画といった別名を用意した。
それ以外にもその計画書には補足で補給ラインの確立も書いてあった。すぐに輸送艦隊が編成された。輸送船は洋上艦を主軸としていたが、それでは攻撃の的となりやすいため、護衛艦艇に対空軽巡洋艦を2隻、対潜駆逐艦を1隻として安全に内地まで送り届けさせた。更に、前々から作っていた、大型潜水輸送艦が遂に3隻就役した。これらの活動により、資材や物資が無事に本土や各基地、戦線に充足していった。
しばらくはこれらの活動により、戦線拡大をせずに物資の充足に努めることが閣議決定となった。更に出雲計画は正式名称を『出雲22号計画』として政府や大日本帝国軍総司令長の
乃木雅紀総司令長官の承認を得て正式に計画が発動された。最終案の内容を要約したものを『出雲記録』と名づけた。下のものはその一部である。
計画第1項目
出雲計画最低基準の超大型弩級戦艦の建造
計画第2項目
輸送状況の安定化と拡大
計画第3項目
最新鋭の装備開発の強化、又は従来兵器の改装強化
計画第4項目
戦争の早期決戦による泥沼化の回避、又は戦争終結工作の実施
計画第1項目はメイン目標となっているものだ。それによって建造される艦名は『出雲」とすることにした。第2項目で戦争の全てを決める兵站問題の解決だ。この項目では大型輸送艦艇の開発や高速輸送船、大型潜水輸送艦などを建造するに伴い、それの護衛艦隊を編成するといったものだ。既に元々それらは推進派が多かったために何隻かが建造されていた。今回の計画でそれに拍車がかかっただけである。第3項目では先に挙げたVLSやCIWSなどの前世における現代兵器群をこの太平洋戦争に落とし込むといったものだ。CIWSは良いとしてもVLSは流石に無理がある。まぁそういったことも計画としては悪くないのだが。そしてサブ重要目標の戦争短期化、終結である。欧州戦線ではイギリスはすでに戦闘能力の大半をあの島中に待機させている。そのため独伊ソ三国欧州戦線軍でさえ手をこまねいている状態である。早く太平洋戦争を日本優勢で終わらしたい。そうすれば日本大敗北エンドだけは避けられるはずだ。絶対に負けてはならない。戦争はいかに早く日本が終わらせれるかにかかっている。
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