第13話 美咲、行きます!

米軍の動きはとても早かった。

宣戦布告直後、米海軍主力機動艦隊『第I任務部隊』が日本が所有していたポートモレスビーを強襲、同海軍基地、飛行場を奪取した。守備隊の日本海軍の重巡洋艦『志摩』と駆逐艦『雨霧』『島風』が果敢に迎撃したものの3艦ともポートモレスビーの海底に沈んだ。

更に珊瑚海に展開していた新造艦の戦艦『長門改弍』と『陸奥改』を含めた完熟訓練中の第二大艦隊と米海軍『第II任務部隊』が交戦、陸奥改は第三主砲塔弾薬庫の暴発により大破するなど各艦艇が中破又は大破などの被害を出しつつ第II任務部隊を退けた。一方日本では、



横須賀鎮守府

「・・やっぱり開戦するんだね。前世でも理由は違えど戦争をした。そして負けた。この国は、この世界線ではそうはしたくない。」

「そうね、だからってなんであたしを大佐にしたわけよ!」

開戦直後に美咲を首相たちに頼み込んで大佐にしてもらったのだ。

「なんでって、大佐にしたら大型艦の艦長に任命できるんだぞ?最近、上級将官が相次いで戦死してるんだ。そんで俺に海軍総司令官の任が回ってきた。そうしたら好き放題にできる。」

「でも私、戦艦とか空母とかの大型艦なんてもの以前に小型船すら怪しいのよ?それにこれじゃあ身内贔屓よ・・・。」

そう言うと思って一計を案じていた。

「君を現在建造中の『大和型空母1番艦 大和』の艦長にする。」

「だーかーら!」

怒り気味の妻を抑え割り込む形で

「その建造完了までに君には再編された第二大艦隊所属の空母 蒼龍に連絡将校として空母や戦闘での動きを学んできてほしい。あそこは一回身分を隠して見に行ったことがあるが、治安が物凄く普通なところだから安心してくれ。」

彼女は唖然としていた。まぁ、単身赴任になる訳だ。流石に寂しいようだ。

「・・・・・・了解、しました。根東美咲大佐、命令を受領しました。」

「明後日の0800に蒼龍にて手続きを行え。以上だ。・・・寂しくなったら手紙の一つでも送ってくれよ。俺も出すから。」

「はい。」

本当は俺の方が寂しいのだ。しかし、現在は前線でしかできる人材があまりにも少ない。その為には身内であろうが辛い判断をしなければならないのだ。

翌日、この日は休暇を2人で取りデートのようなものをしてしばしの別れの前の一緒の時間を過ごした。美味しいご飯を食べて、酒をたくさん飲んで出発の日に二日酔いになったのは言うまでもない。


出発当日 0500 横須賀鎮守府連絡ボート乗り場

「美咲、行きます!」

「あぁ、行ってこい!技術を自らのものにしてこい。」

互いに敬礼し彼女は横須賀軍港に浮かぶ蒼龍にボートで向かっていった。


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