第12話 八岐大蛇と蜃気楼

1対80、圧倒的スコアで我々は敗北した。

その後、すぐにアメリカは自分達の責任を日本に押し付けてきた。全て日本の作戦が悪いんだとかなんとか。実際に動かしてたのはアメリカの方だろうに。そしてアメリカ大統領で元軍人のトルーマン大統領は全世界放送で日本を強く非難した。しかし、日本を支持する国の他、対立関係にある国からも日本を支持する姿勢を見せられた。そのためにアメリカはとりあえず、それ以上は何もしなかった。

それから少し経ち、1940年。

敷島型戦艦はついに8隻まで建造することに成功した。そこで海軍中将として一つの計画を立案することとした。


『八岐大蛇計画』

八岐大蛇は8つの頭と8つの尾を持つ。

つまり頭となる大艦隊8つと、尾となる小艦隊を8つ作る。あくまでこれは基礎であり、ここから発展して分艦隊や遊撃部隊などが分岐する。

大艦隊には戦艦を基本的に旗艦とし副旗艦をあらかじめ決めておき指揮系統の混乱に備える。小艦隊は旗艦は指揮設備が最も優れた艦が担当することとなる。この計画では指揮系統を重視したものとなっているため同時進行計画として


『蜃気楼計画』

これは囮艦隊の創設の必要性をまとめた計画案だ。囮艦隊に使われる艦艇は全て敷島型戦艦を木製で再現し、装甲なし、遠隔操縦、自動対空戦闘対応、完全無人とした艦である。コストはかなり安く、木製のため徹甲弾は全貫通し無効化することができる。これにより敵軍の作戦の混乱や、本隊の行動の隠蔽を容易とする。また敵は戦力をどちらか一方、又は両方に分散するなど戦略的に不利になるといった効果もある。


この二つの計画は海軍の上層部だけでなく一兵卒や現場の叩き上げ組からも聞いて考えられた計画案だった。そして管理省がそれをチェックし、首相に提出された。両首相からの返答は、「・・・いいと思う!」だった。

その後、国会などの厄介どころも吹っ飛ばして正式承認された。そして1941年1月。

遂に八岐大蛇計画初の艦隊である

聯合艦隊第1大艦隊 通称、敷島隊が編成された。

更に同日、蜃気楼計画初の艦隊である 

聯合艦隊第1囮艦隊 通称、幽影艦隊も編成された。


敷島隊の旗艦は戦艦敷島が常時着くことになり艦隊規模は計150隻からなっている。とは言ってもこの半分近くは今後別の大艦隊や小艦隊に転属となる。艦隊司令長官にはこの俺が就任することとなった。幽影艦隊には計20隻ほどの囮戦艦が既に配備された。完全な自動化がまだ不完全であったため、艦橋部分に500ミリ装甲板で守られた艦橋に必要最低限の人間のみ配置した。現状、この500ミリを抜ける砲は無い。

敷島の主砲でさえ、同じ場所に10回当てて穴が開きそうな感じがわずかにするのみであった。

自分達で練り上げた計画のひとまずの成功に喜びを感じていた矢先、この歴史上において最も重要な転換点となる宣言が行われた。




1941年2月1日、12時00分

アメリカ ホワイトハウス前

「優良種たるアメリカ国民の皆様全員に宣言いたします。我々、アメリカ合衆国は只今の時間をもって大日本帝国に対し、宣戦布告をいたします。」

前世における悲劇、太平洋戦争の火蓋が切って落とされた。

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