第5話 クーデター決行!

約束の日、12月25日が来た。

俺はついに皇居の庭で将兵計3万人の前でスピーチを任された。そして拡声器を渡された。

キィーンと高く嫌な音が鳴り響く。

「・・・諸君。私たちはこれから一つの国家に対し大規模な軍事クーデターを決行する。これは国に対する反乱だ。今からでも遅くない。今の日本を愛しているものはこの場を去れ。咎めはしない。もし残るのなら、残るのなら君たちは歴史の生き証人となる。今から話すのは荒唐無稽なことであるが俺は別の世界線の人間だ。」皇居にざわめきが起こる。

「俺のいた世界線では日本でこのようなことは確かに起きたが、その時はただ血を流して争うような事件になった。だから絶対にそのような歴史を繰り返さないでほしい。以上。」

「総員、解散!作戦行動開始!」

3万の兵士が三人の主犯に敬礼をした。

まず皇居の占領だ。

「なっ!貴様ら何者ダァ!」

「関東軍だ!死にたくなけりゃ大人しくしやがれぇ!」皇居にはへなちょこ若造兵士しかいないので天皇陛下のとこまですんなりと行けた。

そこで天皇に聞かれた。

「根東よ、君は日本を変えれるか?」

「・・・できる覚悟無しにこんなことは致しません。」そう言うと天皇は満足された。

そして次の場所に向かう。石原は陸相、東条は海相、俺は首相官邸だ。

向かってる途中に陸相官邸占拠の連絡が届き、少し遅れて海相官邸も占拠したと連絡された。

残すは首相官邸のみそう思っていた矢先、

発砲音がした。

「何事か!」

「中将!関東軍の1人が、殺されました!」

ついに始まってしまった。血を血で洗う事件になる。そう思った。

「どけ、俺が直接撃った野郎に会いに行く。」

「・・・撃ったのは首相であります。」

1番あり得ない答えだ。あのジジイだ。前世界線では『話せばわかる』とか言って死んだジジイだ。まさか武闘派だとは。

そしてマシンガンの音が聞こえてきた。しかし我々の部隊にはマシンガンなど装備していない。まさか・・・

「中将っ!奴らはこっちが下手に殺しができないと思って見境なく攻撃しています。このままでは!」

「なら尚更だ。全隊に今一度殺人を犯すなと伝えろ。後、犬養に会ってくる。お前、三十八式歩兵銃借りるぞ。大丈夫、銃剣で戦うから。」

仲間を殺した罪は重い。玄関を思いっきり蹴り飛ばして叫んだ。

「カチコミじゃぁ!死に晒せぇ!」

護衛の兵や味方まで唖然としてしまっていた。

その先にマシンガン両手に持ったジジイがいた。間違いない、そいつが犬養だ。

「ちっ、根東かぁ。遅かったなぁ!」

そう言いながら彼はトリガーを引いた。射線上に奴の護衛の兵もいるのに構わずまとめて薙ぎ払った。廊下が血の海になった。うめき声すら無かった。あるのは死体だけだった。

「犬養ぃ!」

「手前もこの山の1つにしてやらぁ!」

銃口が上がった。額を狙ってやがる。

さっきのを見るに完全な回避はできなそうだ。ならずらせばいい。この三八式歩兵銃には予備弾倉は無いが1発なら入っている。

これで奴の手を狙い打ち、懐に入る!

バシュゥゥゥ!少し早く俺の方の弾が出た。

それは綺麗に直線を描き犬養の手を貫いた。

しかし、奴も意地でトリガーを引き絞った。

頭の横を掠め、肩、脇腹、左胸、太ももと熱い痛みが浮き上がってくる。

それでも走るのをやめなかった。

奴のマシンガンにも銃剣がついていた。

俺の三八式歩兵銃にもついている。

しかし、

「こっちの方がリーチと加速度で勝ってんだよ!」そう言いながら奴の致命傷にならなそうなとこを突き刺した。

「ぐふぅ!たかが一軍人のくせにぃ!」

そのままうるさく喋る犬養を拘束し。血まみれになりながら官邸を出た。

「犬養なら中にいる。戦死者がかなり出た。

俺たちは殺していないが犬養が派手にやった。

いいな、敵味方分け隔てなく弔え。」

「は、はい!しかし、中将こそ大丈夫でありますか?全身から血が、」

「構うな、やるべきことをやれ。後これ役に立った。返す。」そう言って霞ヶ関まで車を出してもらった。そこには石原と東条が待っていた。

「ご苦労さん。ん?どうしたんだ!そんな血まみれで!」みんなそのことばかり言っていて

流石に気に障った。

「気にしないでください。それより他の閣僚は?」

「大丈夫、全員拘束しておいたよ。けど兵士の大半は周りの民間人対策にさいちまったけど良かったかな?」さすがの手際の良さだ。

「はい。ではすぐに国民に臨時速報をしましょう。うぐっ!」しかし体に限界がきかけている。早く済まさねば。

「やめておけ!君の大事を優先しよう。これくらい明日でもできる!」

「ダメです。むしろ好都合ですよ。高官どもはこうしてでも腐敗した日本を守り続けるつもりだと。さぁ、行きましょう。記者が待っている。」足取りが軽く感じた。

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