第4話 スポンサー石原・東条

「で、この感じはちゃんと考えてきたんだな。その答え次第では力を貸してやる。」

今までとは違って低く暗い声だった。

「はい。俺は新島くんが集めてくれた確実な

資料をもとにお話しします。」

新島がそれに合わせて2人に資料のコピーを差し出した。

「っ!これは・・・。」

「はい。上層部はゴミです。一刻も早くこの日本から排除しなければならない。このままでは日本は滅びます。実は俺の私怨から始まったような話でした。復讐のためにクーデターをしようと。だけど今は違う!この日本は俺が居た日本より酷い。みんなのためにとかじゃない。俺はこの世界を楽しませてもらう!それだけだ!」

最後の方はかなり感情的になったし欲望に満ち溢れていて深夜テンションになっていたが思っていたことは全て吐き出せた。

「わかった。東条、俺たちの負けだな。」

「元から俺は力を貸すつもりだったぞ。勝手にまとめるな。」

「ははっ。確かにな。では我々は何をすればいい?」

超強力なスポンサーがついた。あとは実行に移すのみ。

「まず決行日時です。これは2人の直属部隊が動かせる日がいいんですが・・・。」

「関東軍は3週間後に一時帰国をする。確か東条の直属部隊は陸軍の第2機甲師団だよな?」

「そうだ。あいつらなら上手くやれる。」

安心した。関東軍は今は満州の防衛に付いていて本来ならこんな時期に期間なんてないはずだ。多分無理言ってくれたんだろう。

おまけに第2機甲師団だ。彼らは精鋭中の精鋭でその部隊にいること自体が誉れであるのだ。

彼らならきっと上手くやってくれる。

「では決行日時は今日が12月3日なので3週間後の12月25日あたりなんてどうでしょうか。」

「よし、それで行こう。それと根東くん、一つ確認したいことがあってだな。」

「はい?」

「このことはこれ以上話を広げない方がいいかな?」

確かに悩みどころだ。スポンサーが増えれば増えるほど上手くいく確率や規模は上がる。

しかし彼らがしっかりと予定通りに働くとは限らない。裏切る可能性がある。だから

「やめておきましょう。多分裏切り者が出ます。実際2人でも結構心配ではあるので。」

「わかった。不拡大方針だな。それで制圧箇所は?」

「まず、現首相犬養毅の官邸包囲、選挙します。今回のクーデターは死傷者ゼロ厳守です。同時に皇居も制圧します。これは保険です。

そして陸相植田伸也と海相中嶋悟の官邸も包囲占領です。それが成功し、残った官僚どもはここ霞ヶ関に来ます。それを捕えて我々の正当性や今までの彼らの悪事を世間に公表します。」

「よし、では時刻は朝の4時とかはどうだ。」

「確かに彼らの起きる時間帯ではないですしね。けど安全のために朝3時に決行しましょう。一般人には迷惑をかけたくないですし。それでは今日はこの辺で。あ、当日の集合場所は?」

「皇居にしよう。あそこで関東軍の帰還式の予定とそれのリハをする機甲師団、なんてアリバイを作ればいい。」

完璧だ。この日本を動かしてみせるさ。

自宅警備員、舐めんなよ。

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