3-1話 9.999(フォーナインズ)タロット占い

「あー!トーファ!占いやってくれるの?!」

ソバユが歓喜の声を上げた。

「9.999(フォーナインズ)タロット占い。」

と、大量のカードが舞う中で、トーファが続ける。

「これはまず9.999枚にも及ぶカードから100枚を引くんだ。そしてカードに描かれたマークの意味することの傾向を割り出して、占う。100枚から判断するから、占う難度は高いが、けっこう細かく占えるぞ、どうだやってみないか?」

「占いねえ…面白そうだけど、それ時間がかかりそうじゃにゃい?」

「今舞っているカードを、猫さんがてきとうにババっと弾き出せば、そこから10分で占おう、それで終わりだ。」

「わかったよ。」

いちごはふうと息を整えた。

「いちごさん?」とソバユ。

すると、いちごの毛は逆立ち、瞳孔がすっと細くなった。

「!!いちごさんの雰囲気が変わった…!」

いちごはシャー…!と小さく鳴いた。

「すぐ終わらせるにゃ…!」

次の瞬間。

「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ!!!」

いちごは目にも止まらない猫パンチを繰り出した。

スパンスパンと次々カードが弾き出されてゆく。

「はわわ…ワ…ワイルドだ……!いちごさんがワイルドモードだ…!興奮してるいちごさん!かっこ可愛い///トーファグッジョブ!」

嵐のようなカードと猫パンチの横で、トーファは弾き出されたカードを引き寄せ、素早くマークを一瞥してゆく。

「豊穣、聖杯、砂浜、塔、スープ、缶詰反位置、卵、炎、皇帝反、秋…」

「森、法典反、鳥、スパイス、恵みの雨、剣、撃鉄、砂糖反、きのこ反………」

「よしもういいよ!猫さん。カードが出揃った。占うか。」

「あー疲れたにゃ…」

いちごはひいひいとフローリングに腰を下ろす。

「お疲れ様ですいちごさん!」

「じゃあさっそくいくぞ。」

「まずは豊穣やスープ、秋、恵みの雨、白い太陽が出ている。これらはいいカードだ。縁起の良い環境が整うと解釈できる。害虫や干害のカードが出ていないのもプラス。ただし、砂浜や塔、缶詰の反位置、摘果の反位置が出ている。これらは崩壊、安定の無さを示す。現状に甘えることなく努力を怠るなということかな。あっ反位置っていうのは、マークが天地逆になってて、本来と逆の意味になるということだ。」

「森やスパイス、料理対決、獣臭の肉のカードもあるから、若干の試練もあるかもな。」

「なんじゃそのカード」とツッコむいちご。

「あとルールの破壊という意味の、法典の反位置が出てる。剣、撃鉄、雷が固まって出たのも気になる。少々不吉だ。争いごとに巻き込まれるかもしれん。」

「争い?猫の世界にそんなものないにゃ。」

「まっ占いだし?」

トーファがすっとんきょうな返事をした。

「あとはそれ以上不吉なカードは無いのがいい。宴、嵐の反位置のいいカードもあるし、レアカードの氷菓も出た。」

「タロットってレアカードとかあるのかにゃ。」

「氷菓は文明と余裕、贅沢、憩いといった意味があって、すごく縁起のいいカードだ。私個人的にも大好物だから、運勢もうなぎ上りだ。」

「占い師の個人的感情も反映されるのかにゃ…」

「まとめると、悪くない環境だが、試練があるかもしれないから、努力を怠たるな。油断すると危ないけど、特別悪いこともなく報われるって感じかな。それってすごくいいことだぞ!悪くない環境で、努力が報われるってありがたいことだよ!」

「なんでフォローを入れるにゃ…」

「よかったですね!いちごさん!」

ソバユはほんとうに嬉しそうだ。

「さて。ここで最後の1枚だ。」

「えっ?」

いちごとソバユが不思議そうに振り向いた。

トーファの手元には一枚のカードが伏せてあった。

「最後に引いたこの100枚目のカードは“ゴールデンドロップ”といって、これが最も影響力の強いカードとなる。」

「ラストジャッジだ!」

トーファが伏せカードを開く!すると…!

「えっ……?」

「これは………何?」

いちごとソバユはいっそう不思議な顔になった。

だがトーファの顔はさあっと青ざめていた。

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