第42話 子供たちの秘密基地 10
エレノアが去った数分後、タクトとサムとミラが
タクトとサムとミラは、それぞれ自分がテイムしている魔物たちがいつもいるところに向かって走り出した。
カーロは最初にタクトを案内した、元は幻だった花畑の中にいた。
カーロの姿を見つけたタクトは立ち止まり、息を整えてから、カーロに向かって歩を進めた。
自分の倍以上背の高いカーロを見上げながら、タクトは口を開く。
「カーロ、ごめんね。ずっと一緒にいたかったんだけど、急に遠くに引っ越すことになっちゃったんだ。僕がテイムしたままだと、カーロが縛られたままになっちゃうから・・・僕とのテイム、解除してくれる?」
精一杯の笑顔でそう言うタクトに、カーロは頷くことしかできなかった。
タクトが大好きだった。
けれど、自分のように恐ろしい魔物をテイムしているタクトに、いつか誰かが危害を加えるかもしれない。
戦うことが嫌いで、ビビリで心優しいカーロは、ずっとそんな思いを抱えていたのだ。
だから、エレノアと準備してきた不確定な未来のことを、タクトに話すことができなかった。
「
タクトが唱えると、カーロとタクトの間に、光る鎖が現れ、粒になって空中に霧散していった。
タクトはカーロに抱き着く。
「カーロ。今までありがとう。僕の大切な、最高の友達。」
テイムを切ってしまったため、もう2人は意思の疎通ができない。
戦いを好まないカーロが自分を襲うことはないと信じつつも、自分を見るカーロの目の色が変わったことを敏感に感じ取ったタクトは、直ぐにカーロから離れ、転移の魔法陣に向かって走り出した。
転移の魔法陣がある階層に到着すると、そこにはタクトと同じように、涙を流しているサムとミラがいた。
だが、その涙は、タクトの涙とは違った。
「ごめんよ、タクト~、おで、おでにはぶりだったあああああ・・・!!」
「ごめんなさい、タクト・・私も・・無理だったああああ~!!!」
サムとミラは自分がテイムしている魔物たちを抱きかかえ、大泣きしていたのだ。
タクトは自分に言い聞かせる。
(しょうがないじゃないか!サムとミラと僕とでは、テイムしている魔物の立場が違う・・!!)
「気にしないでいいよ。
3人とスライムたちとゴブリンは、転移の魔法陣でベイリンガル侯爵領に戻り、行方不明になっていたことをしこたま親に怒られてから、飛竜便に乗り込んだ。
開拓地に引っ越してから数十日。
引っ越しの後始末も落ち着いた頃、タクトはサムとミラに誘われて、強い魔物が闊歩するという森の中にいた。
タクトがテイムしたくなるような新たな魔物を探すためだ。
タクトは思う。
カーロを忘れることなんてできない。
友達はカーロだけでいい。
そうは思うのだけれど、カーロとの時間が楽しすぎて、大切過ぎて、タクトは寂しくて寂しくて、どうにかなってしまいそうだった。
そんなタクトを見るに見かねたサムとミラが、乗り気でないタクトを引っ張り出したのだ。
行く先は、サムとミラが偶然聞いてしまった、エレノアの独り言に出てきた場所だ。
「開拓地のまわりの森は強い魔物でいっぱいのはずなのに、北の小径のまわりにだけは、森の中の他の場所で見られるような強い魔物が現れないのよね。その代わり現れるのは、ホーンラビットからフォレストウルフ、ゴブリンに至るまで、すべてが青い魔物。身を守るために魔物もだいたい自然に合わせた保護色なのに、この緑と茶色の森に、青よ、青。なんなの?突然変異なの?」
長い説明文のような大きな独り言に、純粋なサムとミラは食いついた。
「「青い魔物なら、タクトが気に入るかもしれない!!」」
3人は、開拓地の北にある小径を進む。
そして、見つける。
あの、秘密基地に酷似した洞窟の入り口を。
そして、もう一度、出会う。
青い
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