第2話 アンドロイドは助け合い

 私たちは任務を与えられた。

 モフモフの観、いや地球での拠点づくりと生態系の調査である。

 改めて司令官の送った情報を見る。

 期限は決まっていないようだ。

 だが地球にいる動物には危険なものもいるそうなので十分に準備していくようにとのことだ。

 モフモフには銃は向けたくないがそういった場面が来れば私は迷わず撃つだろう。


 私はまず更衣室でアーマースーツに着替える。

 スーツは肌にぴったりと吸い付き体の起伏が強調される。

 このスーツを開発したのはたぶんスケベな奴だ。

 パラージなんかはもう全裸のほうがましなんじゃないかと思うぐらいすごい恰好だ。

 アリアは……。


 「何を見ているミスカ」

 「いいえ。勝ったと思いました」

 「勝った? 変な奴だ」


 ブリースはというと。

 うん、かわいい。

 恥ずかしそうに隠れながら着替えていた。

 小動物みたいでかわいい。

 なんだか恥ずかしがり屋のネコみたいだ。


 『メッセージ受信』


 私の目にアイコンが出てきた。

 どうやら作戦に関しての情報が送られてきた。

 内容は拠点の位置と資材の情報だけだった。

 資材は現地調達。

 拠点には自動生産機を置いているらしい。

 自動生産機は物資を入れるだけで目的のものが作れるハイテク装置だ。

 材料さえあればどんなものでも作れる。

 自分のイメージした物も作れるからかなり自由度が高い。


 「準備ができたら武器を用意しろ。武器は何でも持っていってよいそうだ」

 「さすがは司令官ちゃんね~」

 

 私は着替え終わり武器を整える。

 私はレーザミニガン、フォトンブレイド、オールレンジシールド、七連式バズーカーをアイテムホルダーに入れる。

 アイテムホルダーは異次元空間に武器を保管することのできるハイテク機器だ。

 保存できるアイテム数には制限がない。

 異次元空間はこのステーションにあるといわれているがその情報は定かではない。

 まあ知らなくていいことは無視していいのだ。

 私はハンガーに用意されているパラグレイルを背中にドッキングさせる。

 ドッキングには複数のエンジニアが作業に入る。

 このドッキングがなんとなくくすぐったくて少し苦手。

 

 「ドッキング開始」

 「背中から接続コネクターを開放してください」


 私はエンジニアに言われたので背中から接続コネクターを出す。

 コネクターはゆっくりとパラグレイルとドッキングする。

 このこすれる感じがすごいくすぐったい。


 「ドッキング成功。マッチを確認してください」


 はぁーくすぐったい。

 私は自身のステータス画面を表示させる。

 拡張パーツに飛行ユニットパラグレイルが表示されていた。

 どうやらマッチはできたようだ。


 「マッチ完了です。ありがとうエンジニアさん」

 「気を付けてミスカ。みんなあなたに期待してるわ」

 「ふふふありがとう」


 私もモフモフに期待しています。

 

 「ハッチ開きます」


 ゆっくりとハッチが開く。

 外は真っ暗だ。

 まあここは宇宙だからね。

 ところどころに星が瞬いている。

 見慣れた景色だがいつ見てもきれいなものだ。

 

 「じゃあ行くわね~」

 「待てパラージ!!」


 アリアが引き留める。

 とっさにパラージは出撃するのをやめて止まる。

 なんだ敵?


 「なにかしら~アリア?」

 「あのー、そのー、一緒に行こう」


 アリアは恥ずかしそうにパラージにそういった。

 いつもはパラージのことを避けているがなぜだろうか。

 少し意外だ。

 もしかしてアリアはパラージのことを思っているのだろうか。

 だとすればとてもかわいい。


 「そういえば~アリアは飛行ユニットじゃなくて戦車ユニット多く使っていたわね~」


 なるほど。

 そいえばアリアは戦場では陸で戦っていた。

 戦車部隊のエースだったかな。

 久しく戦場に出ていないので忘れていた。

 

 「はい。手をつなぎましょう~」

 「お、おう」


 アリアはパラージと手をつなぐ。

 そして背中のパラグレイルから勢いよくエンジンが火をふかして地球に向かって飛び出した。

 

 「さてじゃあ行ってくるよ」

 「気を付けて。あ、できたら地球のもの持ってきてください」

 「うん」


 私は地球に向かって飛び出す。

 宇宙に出ると左右や上下がわかりにくくなる。

 初めは宇宙酔いが多発してエラーを起こすアンドロイドも多数いたらしいが今では新兵のころから訓練されていて宇宙酔いを引き起こす人は少ないようだ。

 私も宇宙酔いを経験した1人だからその気持ちが痛いほどわかる。

 だが慣れてしまえばここは最高に気持ちがいい。

 左右上下に縛られることのない自由な世界。

 しかし地球に近づくごとに重力に引っ張られる感じがする。

 

 「大気圏に突入したらすぐに耐熱シールドを展開。一応人間がいた時のことも考えて武器のセーフティーも解除しておいて」

 

 私はシールドを張って武器のセーフティーを解除する。

 するとアリアから連絡が入る。


 「すまない。指示は隊長の役目なのに」

 「いいよ。助け合いが普通でしょ。今までだってそうやってきたでしょ」

 「ありがとう。こちらアリア。大気圏突入します」


 すると連絡は途切れて戦闘でアリアが大気圏に突入するよすが目視で分かった。

 後ろのブリースは何回も飛行ユニットを使っているから大丈夫だろう。


 「ミスカ大気圏突入します」


 私も大気圏に突入する。

 機体のシールドが熱から守ってくれるがかなりの振動だ。

 何回もやってるからさすがにビビることはない。

 でも久々でワクワクするな。

 

 そのワクワクを体感しながら一気に大気圏を抜ける。

 眼下には美しい自然たっぷりの地球が広がっていた。

 いや少し高層ビルなどの大きな建物が残っている。

 しかし自然が今の地球の支配者だといわんばかりにビルを侵食していた。

 人間の姿はない。

 このきれいな大地を汚す害悪生物はこの地球には存在しないのだ。


 「着陸ポイントにマーカー設置。そこに向かってくれ」


 視界に着陸ポイントがマーキングされる。

 どうやら人間たちの攻撃はなさそうだ。

 いや死んだんだったな。


 私は着陸ポイントに向かって飛行する。

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終末世界の宇宙機械人形 大天使アルギュロス @reberu7

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