作品1-4
私は居間に戻ると、床に置かれたままの写真立てを真上から掴むようにして拾い上げ、机の上にひょいと投げた。写真立てはくるくると空中で二、三回転して私に表を向けた。私は持ってきた金属片を使って収められている写真に大きくバツ印をつけた。
庭に立つ母が写っている。青いジーンズにピンクのシャツを合わせ、斜に構えただけで飾らず、静かに微笑んでいる。いい写真だと思った。綺麗な母だと思った。それが一層憎らしく見えた。バツ印が薄いと思えた。私はバツ印の上を再び金属片でなぞった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます