第2話 おたま
前回までのローバード・デュウニュウアーリーは。
「ふふ、何者なんだ?」
「ァんだと?」
「マッチ? そうか、君はマッチを売っているんだね」
「南ね」
「デュウニュウアーリーだぁ」
時は53979年、ローバードはタクシーに乗っていた。
タクシーは路側帯と中央分離帯の真ん中を走っていた。
ローバードはタクシーのオヤジに銃を突きつけながら言った。
「そこに止めろ!」
オヤジは何も言わず車から降りた。
ローバードはそのタクシーから降りてそれに乗らずに町を歩き出した。
歩いてタバコをふかしながら近くに落ちている石を見つめた。
そのとき、空からアイスクリームが落ちて来た、ローバードはそれを両手で受け取ると、近くにいた女の子の手渡した。
「動くな!」と銃を持った集団がローバードを囲った。
「何者だ!」
とローバードは言った。それから、近くにいた女の子をおもむろに肩車すると銃を自分のこめかみに突き付けた。
銃を持った集団はたこやきを食べながらその様子を見守っていた。
ローバードは女の子を下ろして、近くの美術館に侵入した。
しかしその美術館は崩壊していた。
「クソッ」
ローバードは街路樹通りを歩いた。行き交う者だ誰もいない。
にゃーん、と猫がローバードに寄って来た。
「なんだなんだ?」
猫をなでてやると寝ころんだ。
ローバードは近くにあった、コインを上空に投げた。
すると、猫は上空に飛んで行った。
しばらくして猫は降って来た。
「どこまで飛んだんだ?」
猫を見るとニンジンを咥えていた。
ローバードは驚きながら打ち上げ花火を取り出して、それにタバコで火を点けた。
すると月の見える星空から突然雨が降って来た。
ローバードは急いで携帯電話を掛けた。
「もしもし」
受話器の向こうから声が聞こえてきた、それはハスキーな女性の声。
「午前2時13分に車を時速200キロで走らせろ」
女性はそれだけ言うと電話は一方的に切られた。
ローバードは歩き出すと公園が目に入った。
「公園かぁ、そう言えばあいつは元気だろうか」
そのままローバードは公園に置いてある、ジャングルジムに飛び乗った。
「おーい」
すると下のほうで誰かがローバードを呼んだ。
見るとサングラスをかけた黒いスーツの男が立っていた。
男はニヤリとすると言った。
「久しぶりだなローバード」
「お前は?」
「相変わらず、いちごキャンディーを探しているのか?」
「お前には関係ない」
「ははっ何つっても俺はドックフードだからよ」
「笑えないって」
「どうすればいいかわかってんだろうな」
「ああ」
「久々に楽しい会話だったぜ。こんなに楽しいのは缶蹴り以来だ」
「楽しくはないが、お前のその会話、正直度肝を抜かれた。だがお前が言う缶蹴りの遊びはとっくの昔に終わているんだ」
「終わらねーさ。俺さまがこの傘をさしている限り」
「終わっているんだ、俺がこのユーフォ―キャッチャーをしているときに」
そのとき、19375キロの上空から、とてつもなく大きな飛行船が降りて来た。
それは公園に止まると、そこからフードを被った謎の組織が降りて来てうんていをし始めた。
パチパチと手を叩きながら最後に船を降りて来た者がいた。
「これはこれは素晴らしい。じつに」
黒いスーツの男が指を差して言った。
「あ、あなた様は」
「わたしは、その。あのですね、そのー……」
「俺さまはリバーダと言います。あなた様にお話ししたいことがあるのですが」
「な、なにかね」
「図書館内で不正があったということですが。お言葉ですが、あなた様はそれをもみ消したいとお考えでは……」
「続けたまえ」
「もし、そのもみ消しを俺さまがしたら、俺さまをあなた様の部屋の掃除当番をお願いしたのですが」
懇願するようにリバーダが言うと、フード男は忘れていたふりをしながら答えた。
「あ、ああ、そのことか」
「それでですね、あとは、あなた様の許可が必要なのですが」
「り、リバーダ君……もちろんだ、もちろん許可する」
「ありがとうございます」
「あ、じゃあ、私の連絡先を秘書に言っておこう」
「はい」
それから、フードを被った男は電車で帰って行った。
ローバードはその話を盗み聞きすると。砂場のお城につまづいて公園を後にした。
これがローバードとリバーダの最初の出会いであった。
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