ナイトライナー

亜未田久志

夜行列車


 ガタンゴトン、ガタンゴトン。

 列車は進む。無限に続く暗やみを進む。

 大勢の人を乗せて進む。

 終点へむかって行く。

 この大陸横断鉄道は夜中走り続ける。

 「ナイトライナー」とも呼ばれる。

 そこの車掌が俺だ。

 そして、この列車では行方不明事件が起こる事で有名である。

 俺はその謎を突き止めるべく派遣されたエージェントでもある。

 スミスの名を受けて、潜入した俺は、運転手や購買員に変わった事を無い事を調べあげる。

 運転手以外が寝静まった真夜中。

 俺は行動を開始する。

 犯行が人間によるものでないのなら。

 それは「やつら」のせいに違いない。

 金切り声が聞こえる。


「来たなナイトライナー」

 

 それは列車の名前ではなかったか?

 しかし関係無い。

 そうナイトライナーとは。


「――――!!」


 人智を冒涜する化け物の事である。

 蝙蝠の翼、鷲の爪、猿の顔、蛇の舌、トカゲの尻尾、体長二メートルを超える化け物を相手どり、俺は銃を向ける。


「こいつは特製でな! お前相手でも十分効くぜ!」

「――――!!」


 真夜中にしか現れない化け物はこちらを威嚇する。

 俺は窓から逆上がりの要領で列車の天井へと上がる。

 

「さぁ! ショータイムだ!」


 二メートル超えの巨躯が迫る。のを転がりかわし、一発ぶち込む。

 上がるナイトライナーの悲鳴。

 だがまだ浅い。

 心臓を穿たねば、奴は死なない。


「我、主に願う――必中の理!」


 主神オーディンに願いを込めて、グングニルの権能を得る。

 ヴァルハラへの切符を貰うようなもだが、エージェントになった時点で決めた覚悟だ。

 ナイトライナーの心臓が穿たれる。

 これで任務終了。

 俺は列車から飛び降りる。


「あっ、俺、今、車掌なんだった」


 こうして列車から最後の行方不明者としてスミスが加えられてこの事件は幕を閉じた。

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ナイトライナー 亜未田久志 @abky-6102

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