第106話 告白
こんなことはやめろ。死ぬな。
「そんなこと言うなら、私を実力で止めてみなさいよ!」
御月は
「……」
「……」
雅輝と大智の二人は沈黙し、もはや
「やっぱり、うまくいきませんでしたね……」
「まぁ、最初から分かってたけどさぁ……」
二人は諦めたように言葉を漏らす。彼らも、自分たちと御月との実力差は自覚していたからである。しかしどうしてか、今の彼らの瞳は希望を取り戻しつつあるように見えた。限りなく無いに等しい希望だったが、それを二人は信じている。そんな瞳だった。
「こうなったら……!」
「プランB、だね……!」
そう言って二人は武器を捨て、御月を真剣な
「……な、何?」
二人のただならぬ雰囲気を前に、御月はあとずさる。
相手に武器はない。周りに
「御月さん!」
「みっちゃん!」
二人の気合いのこもった声に、御月はビクリとする。一体彼らはこれから何をするつもりなのか。御月の心の不安が募る。
まさか、隠し持った爆弾で自爆するつもりか?
そんな考えが浮かんだ。
自爆は、彼らが御月に一矢報いることのできる唯一の手段だったからだ。
御月の能力は攻撃に関しては最強だが、防御に関しては全くと言っていいほど効果がない。御月はその弱点を、攻撃される前に攻撃するという方法で補っていた。しかし、もしも回避不能なほどの広範囲の爆発を起こされた場合、今の御月にはそれを防ぐ手段はない。それに、今はこの森のどこかに大空も潜んでいるのだ。大空の結界能力を使えば、爆風を致命傷にならない程度に抑えながら、御月を戦闘不能にすることも可能だろう。それでも、雅輝と大智に
二人は同時に目を
来る!
御月は身構える。
どうする? 雅輝と大智を光線で撃ち抜くか? いや、彼らが死んでしまっては
「くぅっ……!」
彼らの覚悟を甘く見ていた。自らの死を覚悟した上で止めにくるなど、御月は考えもしていなかった。
「「好きです! 付き合ってください!」」
「…………はぁっ?」
衝撃と混乱で、御月は間抜けな声を漏らした。
聞こえてきた音は爆発音ではなく、雅輝と大智による大声での愛の告白。その声は森の中にこだまし、何度も繰り返し聞こえてきた。
「ずっと昔から好きでした! 私と付き合ってください!」
「オレも! 大好きなんだ! みっちゃん!」
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