第68話 無限ループ
上空から
しかし、真一は集中していた。鋼太の姿勢、飛び込みの角度、これまでの戦闘での癖から、どこにどんな攻撃を仕掛けてくるのかを的確に予想し、その対策を練っていたのだ。
勝負は一瞬。鋼太の剣が真一に振り下ろされたその瞬間に決まる。
ガキィィィィ!
響くのは金属音。地面を砕く破壊音でも、真一を叩き潰す鈍い音でもない。真一は最後の力を
鋼太は驚いた。それは、真一が攻撃を防いだからではない。真一が何かしらの防御をすることは予想していた。彼が真に驚いたのは、自身の全力の攻撃を受けても、真一が剣を手放さずにいたからだ。
「僕はもう剣を支える必要はないんだ……!」
見ると、真一の堅牢剣の
「お前、そのためにわざと地面に⁉︎」
「あぁ。これが僕が勝つための最後の戦略だ! これでもう、体重や筋力の差は関係ない。」
「くっ……!」
「行くぞ!」
「「放て、堅牢剣!!」」
二人は同時に力を解放し、光の剣をぶつけ合った。
『これは……一体何が起こっているのでしょうか?』
『光の剣が、どんどん大きくなっています。前回とは様子が異なるように見えますが?』
それに対して、鉄也による
『あぁ、恐ろしいことにコイツら、エネルギーを放ったそばから吸収していやがる』
『どう言うことですか?』
『堅牢剣の性質は知っているだろう? 一つは防御の時にエネルギーを蓄えること、そしてもう一つは攻撃時にそのエネルギーに魔力を乗せて放出すること。あいつらは、その二つを同時にやっているんだ。鋼太が放ったエネルギーを真一が吸収し、放出する。それを鋼太がまた吸収し、また放出する……』
『その無限ループで、どんどんエネルギーが巨大化していると?』
『その通り。だが……』
「これは無限ループじゃない」
真一は目を見開いた。
「このエネルギーが増加し続けるループの中、唯一減り続けるものがある。それは……お互いの魔力!」
「くぅっ……!」
「確かに僕は身長も体重も筋力も、何もかもがあんたに及ばない。僕に唯一勝てる要素があるとしたら、魔力量のみ!」
真一の魔力量は
「さぁ、お互いの魔力が
鋼太はもう、この勝負から逃げることはできなかった。力を少しでも緩めれば、真一の放つエネルギーに負けてしまい、剣の位置を少しでもずらしたら、攻撃をくらってしまうからだ。鋼太が真一の攻撃を防ぐためには、真一の攻撃に負けないエネルギーを常に放ち続け、
「……なるほど。追い詰められたフリをして、まんまと詰みの状況に俺を誘い込んだと言うことか」
鋼太の放つ光がわずかに弱まった。その瞬間を真一は見逃さない。堅牢剣にありったけの魔力を込め、光の剣を鋼太にぶつける。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
真一の放つ光は、鋼太の光を打ち消した。衝撃波と共に光は空高くへとまっすぐに伸びていき、鋼太はその光の中に消えていった。その瞬間の彼の顔は、
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