第67話 互角の二人だからこそ
「行くぞ!」
真一は地面に刺した剣の力を解放し、突進攻撃を行う。
「攻撃のカラクリを瞬時に見抜くとは、流石だな。だが」
「そんな直線的な攻撃、簡単に防げる」
どっしりと構え、真一の
「まだだ!」
真一は鋼太の剣を振り払い。再び攻撃を入れる。しかし、鋼太はそれを受け流し、カウンターを入れる。二人の技量は全くの互角、一歩も譲らぬ攻防に、会場の熱気はどんどん高まっていく。
『すごい!
『それに、堅牢剣の性質上、打ち合いが長引くほど剣に蓄えられるエネルギーは膨大になります。よって、先に少しでも
『一瞬たりとも目が離せない激戦だ! みんな、瞬き厳禁で二人の戦いを見届けろ!』
二人の剣が激しくぶつかり合い、その反動で互いに弾かれ、二人の間にわずかな空間が生まれた。一歩踏み込んでも剣は届かない距離、しかし、堅牢剣の光の刃を
「「放て、堅牢剣!!」」
二人は同時に力を解き放ち、蓄えたエネルギー同士をぶつけ合う。その衝撃は地面を大きく
やがて光は収まり、会場は舞い上がる
『なんと! 両者健在! 試合続行だ!』
『確実にどちらかが倒されたかと思いましたが、一体何があったのでしょうか?』
『堅牢剣のエネルギー同士で、攻撃の
『なるほど。……ですが』
晶子は少し悲しそうに目を伏せた。
『決着の時は、近いかもしれませんね』
真一は突然がくりと地面に膝を着いた。剣を杖に何とか倒れずに体を支ええているが、その姿に先ほどまでの活力を感じない。
『確かに、二人の力は互角でした。ですが、互角だからこそ単純で純粋な力の差がはっきりと現れました。鋼太さんは、真一くんより身長も体重も筋力も上です。同じだけのエネルギーをぶつけ合った場合、
晶子の言う通りだった。真一は明らかに鋼太よりも疲労していた。もう、立っていることさえままならない。それに対して鋼太は、多少息が上がっている程度で大した疲労は見られず、巨大な剣をまっすぐに構え、まだまだ戦えるといった様子だった。
「いい戦いだったが、そろそろ幕引きだ、真一」
迫り来る鋼太に、真一は力無く剣を構えた。しかし、そんな状態で鋼太の攻撃を防ぎ切れるはずもなく、真一は上空へと弾き飛ばされてしまう。それでも、堅牢剣を握るその右手だけは決して離さなかった。
「最後まで剣を手放さないか。だがもうお前に、その剣を振るうだけの力は残されてはいない!」
鋼太は真一を追って飛び上がり、追撃を加えて地面に
「終わりだ!」
魔力を解き放った鋼太は、上空から真一に向かってとてつもない速さで向かって行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます