第5話 君一人で倒せる相手じゃない!
「あの怪物を倒しに来たんだ」
ミノリと名乗ったその少女は確かにそう言った。
今、真一の目の前にいる彼女の腕はとても細く、その背中はあまりにも小さい。身長だって真一よりも低く、今真一が握っている手だって力を入れたら砕けてしまいそうだった。こんな少女があの巨大な怪物と戦って、なおかつ倒すなど、真一には到底考えられなかった。
二人はそのまましばらく走り続け、校門のそばまで来た。
「よし。ここまでくれば大丈夫かな」
ミノリは握っていた真一の手を離し、彼の目を見て話し始める。
「あの怪物、目はあんまり良くないの。出会った時にすぐ追って来なかったってことは、まだ見つかっていないはず。真一はここで待ってて、すぐにあいつを倒して戻ってくるから」
「本気なのか」
さも当たり前のように説明を始める彼女に、真一は疑問をぶつけずにはいられなかった。
「あいつを倒すって? あんな巨大な怪物を? そもそもあいつ何なんだよ? 君はどうしてあいつについて知っているんだ? 待ってと言うならせめて説明してくれよ!」
ミノリは一瞬驚いたような顔をし、少し考えた後、困ったような表情で答えた。
「ごめんね、いきなり色々言われたってびっくりしちゃうよね。あの怪物は、心の強い者を狙って襲うモンスター『
正直、突飛すぎる話で、真一には信じられなかった。しかし、実際に怪物、悪鬼を見てしまったからには、きっとミノリの話は本当なのだろう。
「私はその悪鬼を退治するために来たの。だから、悪鬼については色々知ってるよ。きっと、あいつは真一を狙ってる。だけど安心して、絶対に真一には傷ひとつ付けさせないから!」
「いや、分からないよ!」
真一は必死の表情で声を荒らげる。
「君があいつと戦う? 何言ってるんだ? 勝てるわけないよ。君はこんなに腕も足も細くて、身長は僕より小さいじゃないか。そのフルートにどんな力があるか知らないけど、絶対に君一人で倒せる相手じゃない!」
真一は吐き出すように思いをぶつけた。しかし、ミノリはそれでも動じず、ただ静かに
「そうだね、私一人じゃ倒せない……」
その時、冷たい風が通り抜け、風にあおられた落ち葉が空高く舞い上がる。
「でもね真一。私たちなら、倒せるんだ!」
夜空に
次の瞬間、ミノリの後ろには二人の男女が立っていた。
不思議な形の大きな剣を持った屈強な男性と、
ミノリはその二人の方を振り返り、力強く言い放つ。
「よし、行こうよ。みんな!」
後ろの二人はそれを受け、さらに力強く答える。
「「おう!」」
その様子はまるで、戦いに臨む戦士たちの会話。真一が憧れたゲームの中のワンシーンと重なる光景だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます