第3話

父さんの訓練は尋常じゃなかった。

子どもにやるような、いや、人間にやるような訓練ではなかった。

生半可な気持ちで挑んでいたら死んでいただろう。


父さんはまず体力づくりをさせた。

ただ、ランニングをするだけ、とかそんなことはなかった。

といっても、走るのには変わらない。

しかし、何がきつかったというと、のがきつかった。

そう、走り続けたのだ。

何をしたかというと、ランニングマシンの上を永遠に走り続けるということをしたのだ。

勿論、普通ならそんなことをしたら死んでしまう。

しかし、母がいれば別だ。

母の【癒しの光】があれば、俺が疲れた瞬間に回復させてしまう。

つまり永遠に走り続けられるということだ。

え、食事や睡眠は?って?

勿論した。ただし走りながらだが...

食事は、何かよくわからない液体を飲んだら満腹になった...

また寝ているときも強制的に走り続けさせられた。

普通子供にこんなことするか?


しかしおかげで幼児とは思えないほどの体力を得た。

たぶんフルマラソンを走っても生き一つ切れないだろう。

こんな幼児が存在していいのだろうか?


俺は十分体力もついたし訓練はこれで終わりかな、と思った。

しかし、そんなことはなかった。


父さんは、次はを教えるといってきた。

戦い方とはつまり戦闘術の事だ。

父さんはあらゆる戦闘術を教えてくれた。


戦闘術といっても色々あるが主に教えてくれたのは、武術だ。

例えば、柔道などだ。

他にも、日本の武道で言ったら、合気道、空手、相撲、剣道、弓道、槍術などをやったし、拳法で言ったら、太極拳に少林寺拳法などもやった。

海外の武術では、ボクシング、アーチェリー、フェンシング、システマ、ムエタイ、

テコンドーにブラジリアン柔術、さらに西洋剣術まで習った。

さらに特殊なもので言えば、警察で使われている逮捕術に、自衛隊で使われている

自衛隊格闘術、さらにいろいろな軍隊で用いられている近接格闘術や銃剣道まで、

幅広く教わった。


父さんがなぜそんなに武術を知っているかはひとまず置いておいて、

おかげで俺は、あらゆる武術に精通する人間になったのだ。

ちなみに現在の年齢は四歳...いや、おかしい!

といっても、それもこれも全部俺の異能のおかげなんだけどな...

なぜ一年かそこらでこんなに強くなれたのかというと、

それは俺の異能【成長】で習得スピードが速くなっていたからだ。

これのおかげで、わずか数週間で一つの事を習得できた。

そしてわずか一年ですべてを習得できたんだ。


「父さん、次はどんなことをやるの?」


俺は一通りのことをやったから父さんに聞いてみた。


「そうだなぁ...次は父さんと組手だ。」


うわぁ最悪だ。

確かに僕は強くなったけど、父さんと本気でやりあったら死んじゃうよ。


「どうした?やらないのか?」


くそう、やってやるよ!


「先攻は譲ってやる。こい!」


父さんはそう言い威圧を放ってきた。


ヤバいな、構えだけでひるんでしまう。

しかも体較差が尋常じゃない。

こうなったら急所に一発いれるしかないか。


「はあ!」


俺は気合を入れて父さんの急所めがけて、渾身の一撃を放った。


「ぐぁっ!?」


これにはさすがの父さんもたまらなかったのか、倒れこんでしまった。


「光太、合格だ。」


父さんは苦しそうな声でそう言った。


「どういうこと?」


「お前はまだ四歳だってのに俺を倒しちまった。俺はもうお前をこれ以上強くは出来ない。」


終わりなのか...

辛かったけど、終わると思うとなんか微妙な気分だな。


「だが、誰よりも強いか?と問われればYESとは言えない。これからも組手はたまにやるぞ。」


父さんはニヤッと笑いもう一度構えた。


こうして俺はまた最強に近づいた。










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