第2話

俺は考えた、強くなるとはどういうことなのかを。

強い、とは力が強いことなのではないか、と俺は考えた。

とはいっても力だって色々ある。


例えば、学力。

学力が高ければそれだけで他より強いといえるのではないか。


他にも権力。

権力があれば、他のものに遜らなくていい。


財力だって力だ。

金があれば解決できることがないわけじゃない。


もちろん戦闘力だって力だ。

戦闘力があれば色々な物に抗うことが出来る。


他にも、統率力だとか歌唱力だとか、いろいろな力があると思う。


ただ、俺は何をするにもまず頭がよくなくてはいけないと思った。

だって、脳筋な奴が、権力が欲しい、財力が欲しいといっても得られるわけがない。


そこで俺は三歳ながら勉強を始めた。

ただ、俺は中学もしっかり通っていたので、読み書きから始めようってわけじゃない。

中学の復習から初めて、今では高校の内容を参考書やネットを使って、学んでいる。

ここで、俺の異能が役に立つ。なんでも習得が速くなるから、わずか数カ月でここまで進めた。


今も高校の数学を勉強している。

と、そこに母がやってきた。


「光太、もうご飯の時間よ。」


「うん、いま行く。」


母は俺が紙に何か書いているのを見ると微笑んできた。

母は俺が高校数学をやっているとは夢にも思っておらず、お絵かきでもしていると思っているんだと思う。


「いただきます。」


母の作る料理はものすごく美味しい。


「うまいか、光太?」


「うん。」


父は異能の力を買われて、警察の特殊部隊にいるようだ。

だからか、ものすごく強い。

以前一度、父と戦闘ごっこをしたが、危うく怪我をしそうになった。

勿論そのあと、父は母に物凄く怒られていた。


母は昔は、医者として数多くの命を救っていたそうだ。

なので、怪我もすぐに治った。

母の異能【癒しの光】はどんな大けがでも治してしまう。


なかなか特殊な家に生まれたが、両親ともども優しく育ててくれるので不満はない。


「ねぇ父さん、警察の特殊部隊って何をするの?」


唐突だが前々から思っていた疑問を聞いてみる。


「んー、そうだなぁ、詳しくは言えないが、大まかにいうと異能犯罪者集団の制圧

とかかなぁ。他にもいろいろやっているけどそれが一番多いかな。」


異能犯罪者集団...

ニュースを見ているとよく聞く。

強力な異能を持った犯罪者集団の事なんだそうだ。

そいつらは普通の犯罪者集団とは違い、警察に対して反抗してきて、ものすごく危ない集団なんだそうだ。

そんな奴と父さんは戦っているのか...


「これでも父さんは、班のエースなんだぞ。」


父さんは、どうだ凄いだろ、と言わんばかりに自慢してきた。


そこで俺はあることを頼んだ。


「そんなすごく強い父さんにお願いがあるんだけど...」


「ん?なんだ行ってみろ。」


少し遠慮気味に俺が言うと、父さんはどんなことを言われても了承するような勢いで尋ねてきた。


「僕を強くしてほしんだ!」


「急にどうした?」


「僕の異能は父さんみたいな攻撃系の異能じゃないから、少しでも強くなりたいんだ。」


そう、俺の異能は有能だが戦闘になると最弱だ。

父さんはそのことを知っているからか、少し考えるそぶりを見せた。

すると父さんは俺に問いかけてきた。


「...光太、お前はなんで強くなりたい?」


「強くなって誰にも負けないようになるため!」


この質問には即答した。

異能が当たり前の世界で生き抜くには戦闘力も大事だからだ。


すると、俺の真剣さが伝わったのか、父さんは何かを決めたようにこっちを見てきた。


「はぁ...ほんとは訓練はもっと大きくなってからのつもりだったんだけどなぁ。」


と、父さんはつぶやいた。


「光太、お前を強くしてやる。」


「じゃ、じゃあ!」


「ただし!」


と、父さんは俺の喜びを遮った。


「俺の訓練は厳しいぞ?」


「うん。」


そう決意を固めていると、母さんが話しかけてきた。


「光太、やるからには全力でやりなさい。途中で投げ出すことは許しません。」


「はい!」


決意を新たに、強くなるために厳しい訓練が始まった。




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