11.絶対当たらないあいつを見る昼下がり
町を歩いて飲料の入った(わからない、入っていないこともあるかもしれない)四角い赤が目に入る。歩きだと車や自転車に比べて景色を見る量や範囲が圧倒的に多い。のんびり内心余裕があるときは余計にそうだ。その風景の中に、奴は頻繁に登場する。
なんとなく自動販売機の絵を描くと、何色を握るだろうか。おおよそ赤を持つ気がする。根拠はない、何となくのイメージでしかないが、何故か私の中では自動販売機は赤だった。と、いうことはコカ・コーラに脳内支配を食らっているということなのだろうか。サンタクロースに次いでここにまで出てくんの?もう十分稼いだでしょ。
次に思い浮かんだのは青だ。青は、印象にあるものの文字までは思い出せないのがある意味で特徴と言えるかもしれない。(後日調べたら「BOSS」か「pepsi」だった)青、青もメジャーかもしれない。
自動販売機、通称「自販機」で飲み物を買う機会は少ない。他の人は知らないが、私はあまり買わないし、買わないようにしている。だって、高いし。節約は一人暮らしの基本の「き」、基軸の「き」だろう。
今日は青い機会の箱の前でカップル(であろう男女)がキャッキャと騒いでいた。たまに見かける光景だが、自販機の前でのたむろは日常では多くは見かけない。だから今日はある意味でラッキーかもしれない。人間観察は個人的に好きなのだ。まあ、「好き」という主観的感情である時点で「個人的」なのは当然かもしれないが。とにかく創作者日和である。絶好のネタ捕獲チャンス。
彼女の方は金髪、もしくは色落ちした状態の明るい髪色で、あまり綺麗とは形容できない髪の毛をまとめることなくそのまますっとんと落としている。私はあまり好きじゃないヘアスタイルだ。もっとも、「スタイル」と言って良いのか、という感じもするが。もはやそのまま「ヘア」止まりではないだろうか。こういう風に、みっともなく、だらしなく見えないかと不安になって、なかなか髪を下ろすことができずにいるのが常日頃の現状である。本当は、せっかく長い髪だし、染めたし、日頃のケアもそこそこ丹念にしているから下ろしたい。ザ・女の子アピールしたい!少々心の中の音声が乱れたが、いつもそう思っている。外出前にお団子にまとめるときに、「あーあ、今日もおんなじでつまんない、けどこれが一番可愛く収まってんだよなぁ」ってなるあの空しさどうしてくれようか。
違う違う、そうじゃない、今日のトピックは自販機である。カップルと、二人に絡まれていた自販機をスルーして次の電気箱にである。冒頭で言ったように、私は滅多に自販機で飲み物を買わない。ではどういうときに自販機を使うか?それは大きくにパターンしかない。運動時に水分が足りなくて死ぬ思いをした時と、物珍しい飲み物を見かけたときである。コンビニでアイスを買ってしまう現象と同類である。スーパーで買った方が安いから普段は極力買わないが、コンビニには代わりに珍しい味が豊富にある。魅惑の宝庫と言っても過言じゃないだろう。これだから行きたくないんだ、あの魔の巣窟には、絶対買っちゃうし割と痛い出費になるんだもん。
今日は話がぶれがちな日だ。
自動販売機あるあると言えば、「本当に当たるの?」問題ではないだろうか。ピロロロロロロ、と毎回勢いよく主張はしてくれるが結果は出してくれない。友達や先生でたまに本当に当たったという話を聞くが、にわかには……いや信じるけれども。私の目の前で誰かが当たったことはあっただろうか。もちろん私自身も当たったことはない。まあそこまでもう一本ほしい物があるわけではないのだが。どちらかというと経験が欲しいのかもしれない。「当たった」経験は、かなりレアではないか。話のタネとしても申し分ないくらいの面白さだとも思うし、使いやすい大きさでもある。それが、欲しい。
「あ」
横断歩道を待っているときに思い浮かんだ。商品の他にもう一つ、自動販売機を見る理由があった。値段だ。自動販売機によってバラけることもある商品の値段が、割と気になる。特に注目するのはお気に入り「いちごみるく」だ。高校の時、学校に自販機が設置されていた。その中に、高校時代の後半から「いちごみるく」が登場した。私は彼女(彼かもしれない)の
と、嘆きながら家に帰って検索を引っかけてみたら、案外白がメジャーかもしれないと思案《《》》した。
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