第13話 『用済み』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第13話
『用済み』
ダッチは虎の部下に囲まれていた。
「俺は用済みってわけか……」
虎は頷くと杖を振って部下に合図を出した。その合図に従い、ダッチを囲んでいた部下達は一斉に襲い掛かる。
ダッチは腰にかけた刀を抜くと、襲いかかってくるスーツの動物達を次々と倒していく。
実力ではダッチの方が上だ。確実に攻撃を避けて、急所を狙って敵を切り倒す。
だが、これだけの数が一斉に襲いかかってきては、ダッチでも捌き切ることはできず。背後にいたライオンに腕を掴まれ、刀を取り上げられてしまった。
そして武器を失ったダッチは、チーターに蹴り倒された。
「……くっ」
ダッチは地面に転がり、その周囲を部下達が囲む。ダッチの刀はダッチの手の届かないところに投げ捨てられる。
転がったダッチを三人が取り押さえ、一人が首に刃物を立てる。
ここで終わるのか。その時だった。
「そこまでだ」
どこからか声が聞こえる。聞き覚えのある声。その声が聞こえてすぐに、照明が消えた。
「停電か?」
動揺する部下達。
「ぐぁ!?」
「誰……ガバァ!!」
そして突然、部下達が倒されてダッチを抑えていた三人もいなくなった。
照明がついて明るくなると、そこには虎の部下達が倒されていた。
そして一人だけ立っている赤いマントのイタチ。
「お前は……イタッチ」
「さぁ、お宝を取り返しにきたぜ」
そこにいたのはイタッチだ。
「なぜ、お前がここに……」
「四獣は解散して当時の幹部は病死や老死。そして最後に残ったのは白虎。ここだけだ」
「しかし、四獣の遺産とはいえ、俺が白虎と手を組んでるのは限らないだろ」
「いや、分かる。あの弔い方は四獣のやり方だ。…………じいさんの最後、看取れたか?」
イタッチはそう言って包帯で巻かれた腕で杖を握る白髪の虎を見た。
「……ああ、最後まで残った友として、アイツはやり切った。ならば、俺も最後の四獣として……その勤めを果たすとしよう!!」
虎は杖をつきながら立ち上がる。そして立ち上がると同時に天井から忍者の服装をした猿が降りてきた。
「…………四獣の最後。この十二使が一人。ハオも見届けましょう」
ハオは短剣を取り出して姿勢を低くして構える。隣にいる虎は杖を振ると、杖についていた鞘が飛んでいき、杖の仕込み刀が露わになる。
イタッチは折り紙で剣を作り、ダッチは落としてしまっていた刀を拾った。
「助けてもらったことは感謝する。だが、この件が終わったら、次は貴様だ。イタッチ……」
ダッチはイタッチの隣で刀を構えて言う。
「ああ、俺もそのつもりで助けたんだ。だが、まずは協力しようか。ダッチ」
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