路地裏の少女

第13話 路地裏の少女……1

「何しよう。必要な道具揃えに買い物でも行くか。」


 初めてモンスターを倒した時の興奮で正常な判断ができていない状態による、ダンジョン内での死亡率を減らすための”講習後1週間ダンジョンに入ることができない”ルールのため、酒吞ダンジョンに入りたくても入ることができない。


 今の俺にできることは準備することだけだ。


 筋トレして体を鍛えるのもよし、ダンジョンに行って先輩冒険者から助言を頂いたり、パーティーを組む人を探したり。

 他にも必要そうな道具を揃えるのもいい。



 午前中を無駄にして、流石に消耗品は買ったほうが良いだろうと思い、スマホで何が必要で買うべきなのかを調べてメモをとる。





「よし。そろそろ家出るか。」


 昼食を食べて、夜ご飯の準備と部屋の掃除を終わらせ六華に『買い物行ってくる』とだけメッセージを送り家を出た。


 向かう先は最寄りの駅から電車で5駅の先にあるショッピングモールだ。


「軍事金は10万円。どうしようか……」


 昔からコツコツためておいた500円の貯金箱を缶切りで開封し、中のお金をそのまま袋に入れて持ってきている。

 結構きつく袋を締めているので、チャリンチャリンと金属がぶつかる音はしていない。


「とりあえず軍手は必要だろ。」


 作業するには軍手。

 ゴム手袋でも良いのか?いや、ゴム手袋だと熱いものに弱そうだし。

 軍手を最後に触ったのは高1で、体育祭準備の時のグラウンドの石拾いのときで、別にそれ以前も学校関係でしか軍手を使うことがなかったので、どんな軍手かよくわからなかったので、とりあえず1000円くらいの滑り止めつき防刃手袋を3つ購入した。




「このナイフ見た目カッコいい!魔鉄鋼、ミスリル箔押し、10万円。無理だわ。」


 暗殺者とかカッコいいな。なんてクソほどしょうもない事を考えながら3000円の真っ黒なサバイバルナイフを2本購入した。

 してしまった。


 ほしいと思ってしまったらついつい買ってしまう悪い癖が出てしまった。


 後悔はしてないが。





「ダンジョン内で飲み物とか食べ物とか必要だよな。流石に食べないと動けないし頭動かないだろうし。」


 脳の燃料としてラムネ、汗を掻かないわけがないので塩飴、軽くて簡単に食べれる乾パンをいくつか購入し飲み物のコーナーを徘徊する。


「炭酸がないエナジードリンクとか売ってるんだ!」


 炭酸がないイコールダンジョンで動き回っても炭酸抜けでの味落ちがなくなるということ。

 ペットボトルなので、一回開けたらおしまいってわけでもない。


 ダンジョン関係なく普通に飲んでみたい。


 欲望の赴くままいくつか購入した。手前から10本ほど。




「重い。」


 流石に10本は買いすぎたし、予想以上に重たい……どうせ一週間以内には届くんだし、ネットで買えばよかったと後悔しながら、ショッピングモールから歩いて駅まで向かっている。


 バスに乗ろうと急いでいたらエナジードリンクを落としてしまい、悲しきかなバスに目の前で置いていかれ、大型のショッピングモールがあり周辺は”街”と言えるほどなのに、見た目が都会でも所詮田舎である。


 次のバスは20分後。しかも外回りで終点が駅のため着くのにはもう少しだけ時間がかかる。


 歩いたほうが早い。





「キャッやめてください!」


 ショッピングモールから駅を一直線で繋いだ線上にある細い道を通っていたら、女の子の声が聞こえた。


 ダンジョンにほとんど潜っていないと言っても、一応は『ダンジョンの恩恵を授かった冒険者』の肩書はあり、常人より少し体のできが違うようで、車の通りがなく、人もいないことから離れた場所からの女の子の悲鳴を聞くことができた。


「自分の実力で倒す最初の敵は強姦か露出狂か?」


 服を前に伸ばし、その上に今日買ったものを乗せて、悲鳴のした方へと走った。




「キャ!」

「おい!暴れんなよ。ふぅ、ふぅ」


 細い道よりもっと細い、家と家との隙間に制服を着た女子高生らしき娘と、その娘の腕を掴んでいるキモデブハゲデブ糞デブがいた。


「うい、なんとかセーフ?みたいだな。おっさん、手を出そうということは”その後”の事も織り込み済みなんだろ。社会的に抹殺してやる!」


「ヒッ」


 自分で言うのも何だが、今はサイッコウに”自分らしい”目をしてると思う。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――


適当に買い物をしてお茶を濁すはずが、おもんないから適当におっさんに襲われるJKカワイソス。


2年生が終了した。


勉強したくないでござる!6月末までにテストが6個あるってま⁉


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