第14話 昨日とは別の世界に住む二人
昨日の事も今朝の出来事もなんとなく分かっていた…。
かなりの闇を抱えていた白河 純という女の子に関われば、もう前のようには戻れない事。彼女が命を絶とうとしていてどうすれば救えるだろうか?と必死で考えた一日を過ごしていた。
今を思えば、もっと話しておけば良かったのになって思うし、
もっと出来ることは無かっただろうかと考えてしまう。
と考える俺に対して美優が、
「悟くん、それは考えても無駄だよ。」
「昨日に話したよね。関わる人間に対して責任を持たないといけないこと。」
「人生を替える大きな出来事があった場合、必ずそこには凝りが残るんだよ。どれだけ上手くいっても、後悔は残るし考えるだけ無駄なんだよ。」
「悟くんは純がいない世界と変わってしまった純がいる世界どっちで暮らしていきたい?」
俺の答えは……。
「俺は変わってしまっても、純には生きていて欲しい………。」
美優は微笑みながら、
「よかったね、それは今の世界だよ。」
気づけば、昼前になっていた。
「今から~学校行く?」美優が聞いてきた。
「行かないとめんどくさい事になりそうだな。」
「分かってるじゃん、サボったのがばれたら、ストーカーの妹から電話とメールの嵐が待ってるぞ!」
「美優お姉さまにまたケンカを売るだろうな。」俺は言ってやった。
「行くか学校に…。」
バレる前に学校に行くことにした。
学校に到着し、最初から出ていましたよ、みたいな感じで昼休みまで乗りきる。
昼食の時間だが、俺は教室に乗り込んで来るであろう、純に怯えていた。
「美優~、一緒にごはん食べよう!」
とりあえず一人でいるのが怖いのだ。
「こんな熱烈な悟くんからのお誘いは初ではないか?本当に朝から別人だな!」
「俺にはお前しかいないんだ、助けてくれ。」
「いつの間にか可愛い美優ちゃんの虜だな!良かろう!イチャつきながらこの昼を過ごそうではないか~!」
「朝倉くん、美優さん。」
今、ぶっ壊れかけのハイテンションガールに話しかける猛者は誰だ?と俺が思った目の前に桜庭さんが立っていた。
「静香ちゃんどしたの?」美優が言ったら、
「二人ともこちらに。」と俺たちを座らせた。
「………お二人はいつ頃から学校におられましたか?」
桜庭さん?怒ってる?
「最初からいたよ~静香ちゃん。」美優は平然と嘘をつく。
「本当に?」と桜庭さんが再度聞いてくる。
「本当だよ~。」ヤメろ!バレてますぜ美優さんよ。
「すまない、桜庭さん。こいつは嘘をついている。さっき来たばかりだ。」
これは素直に謝る方が良いに決まっている。
「あ~!最愛の彼女を売る気なの、悟くん。」
「売ってはいない、真実を述べただけだ。」
「2度目からは生活指導の対象になるので気を付けるように。」と桜庭さんはそう言うと立ち去ろうとする。
「静香ちゃんも一緒にごはん食べよっ!」といきなり美優が誘う。
少しは空気を読め!誘う場面じゃねぇだろうが。
桜庭さんは少し考えたあと、
「そうですね。これ以上、二人きりにするとクラスの風紀も乱れますからね。共にお昼にいたしましょう。」
変な流れだったが、モンスター妹のシングル対応という地獄からは解放されそうだ。
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