第13話 新学期二日目はサボり
純が学校にいなくなったあと。
「よし、今日はサボるとしよう悟くん」
「ああ、どうやらそうした方が良さそうだ美優」
そう言うと俺の家に引き返した。俺の周りに存在するこの世の中が昨日とは違う、そんな気がしたからだ。
家のソファーで寛ぐ美優に話しかける。
「美優が真実を語ってくれる前に俺の仮説で答え合わせをしても良いだろうか?」
美優に向かってそう言うと、
「やはり私はお前が大好きだ。聞こうではないか。」
「今朝の出来事から考えてみた、まず朝起きた時に白河 純という少女が家にいて、朝倉 純という名前の体は女で心は男という存在に書き換えられていた。」
「父さんと母さんはその異変に気が付かず、普通にその少女を俺の弟として迎え入れた。」
「しかし、両親は昨日の出来事は覚えていた。一方、純はその場にいなかったからその出来事は知らなかった。」
「あと家にいる時の純は昨日に同じ学校の女子学生と体が入れ替わってしまったと言っていた。だから、昨日の朝までは完全な男でそれ以降は体だけ女になったと思っている。」
「でも、家を出たとたん純は性別の違和感が無くなり、一人称が私になっていた。」
「それで俺と美優が少し話をしただけなのに、美優に対しての激しい嫉妬に襲われ、敵意を向けてキレた。」
すると、美優が
「女の嫉妬は男より激しいという事だよ、覚えておきたまえ。」
「詳しく教えてやろう、男同士なら心身で共有するものも多くわかり合えるが、男女はわかり合うことが難しい。その起伏に精神が耐えられなくなったのだろう。」
「私以外がもしその行為を行っていたら、純はその女を殺すだろう。」
それを聞いた俺は笑えない話だなって感じた。
一つの結論に達して口を開いた。
「もしかして、純は昨日に死ぬ運命だったのか?」という解答に至った。
それを聞いた美優はこう言った。
「ほぼ正解だ悟くん。やはり世界で一番、私の伴侶に相応しい男だ。」
と言ってきた。
「では、答え合わせをしようか。」
「まず、私とお前の犯した罪についてだ。」
「私の罪はこの家に歪な空間を作り出した事だ。
死ぬ運命だった純に(悟くん2号)という人格を与えてしまった。私は純を純と呼ばず最後まで悟くんと呼び、さらにこの家なら俺でも僕でも好きなように自分を呼ぶといいと言った結果、(精神が家では男で外では女という)歪な女子高生を誕生させた。」
「さて、お前の罪だが、お前は彼女に最後まで寄り添い支え続けた。結果、純はお前の存在無しでは生きられない人間になってしまった。」
「お前にキツく当たられると死にたくなり、悲壮感や絶望に悩まされる。お前に褒められると一生の幸せを感じて有頂天になる。」
「お前が頑張れと言ったら必死でかんばるようになるし、お前の言うことは何でも聞くはずだ。」
そのあと少し険しい顔をしながら、
「どちらにしても今の純は、昨日に存在した純とはまったく違う人間だ。」
「外見や記憶は一緒だが、思考や人格は別だと言うことだよ。」
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