第10話 自宅前での浮気疑惑
我が家の前に着いた。
「俺の家はここだから、今日は本当にありがとう。」
「お礼ならもう聞いたわ。少しでも元気になってよかった。」
「桜庭さんの優しさと気遣いができる所は素敵だと思う!少なくとも美優より魅力的だと思うよ。」
それを聞いた彼女は
「優しい事は悪いことじゃないけど、そう言う態度は多くの人に誤解を招くわ。」
「例え本音でも、度が過ぎる優柔不断な態度は信頼を失なうわよ。」
なんだかイライラしている。
「ふぅ~。」ため息のあと、桜庭さんは、
「今の発言は聞かなかった事にしてあげる。まあ、気の迷いは誰にでもあるはずだから。」と帰って行った。
家のドアに近づいたとき…。先にドアが開いて美優が顔を出しながら一言。
「かまってくれないからって、私の親友を口説くのは倫理的にどうかと思うぞ。」
その言葉に今日イチの怒りがこみ上げてくる。
「すべてお前のせいだろうがー!常識を知らない奴が倫理と言う言葉を使うんじゃねぇー!」
「男の方の悟くんは怒りっぽいな、女の子の悟くんはあんなに従順でかわいいのに…。」
………もういやです。……美優様、お願いだから自分の家に帰って下さい。
帰宅したら母さんと白河 純という女の子について少しだけ話をした。
母さんは黙って聞いていた。それから一言「分かった」とだけ言った。
父も帰ってきており、家族で夕食にする。
美優が平然とさっきの事をうちの両親に話したため、当然の事ながら…
「悟吏、お前は最低の男だな。」と父。
「悟吏が優しい男の子なのは知っているけど、もう少し美優ちゃんの気持ちを考えたらどうなの?」と母。
「悟くんは悪く無いんです。私が冷たくしたり、二人で話し合う時間を取らなかったのが原因なんです。」と美優。
「すみませんでした。反省しています。」と俺。
この場に俺の味方は存在していない。
両親が描く幼馴染の美優さんは常識のある人間で優しくて気遣いができる理想のお嫁さんだそうです。
「今日はお招きいただいてありがとうございました。姉が学業で地元を離れてしまい、寂しかった私を夕食に誘ってくださる、お父様やお母様の気遣いに私は感動しています。」
どこで覚えた。胸を打つそのセリフ。たしか俺の記憶が正しければ、後輩をキッチンに立たせて作らせた料理だったと思うのだが。
「いいんだよ。美優ちゃんの好きなときでいいから、家に来なさい。楽しみにしているよ。」と父
「抜けていて頼りない息子だけど、美優ちゃんがいないと悟吏はダメみたいだから、これからも仲良くしてちょうだいね」と母
「ステキなご両親ね!悟くん。羨ましいわ。では夜も遅いのでそろそろ失礼しますね。おじゃましました。」
「母さん少し家を出る。美優を送っていくよ。」といい二人で家を出た。
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