第6話 後輩の告白

昼ごはんを食べてから洗い物を終えたあと。


「先輩、お昼ごはん美味しかったです!ありがとうございます。」


後輩からの飛びきりの笑顔を貰えてホッとした。

「先輩をお嫁さんに欲しい。ふふふっ」と後輩の呟きを聞いた。


ん?なんか変ではなかったか?

まあいい本題に入ることにしよう。


「で、俺に話と言うのは何だろうか?」と聞いた。


「今朝の出来事のことです。」


「なぜあのような事をした真意を聞こう。」


「分かりやすくするために結論から言わせていただきます。私の体は女ですが、心は男なんです。」


…答え合わせは合っていた。俺が考えていた事と一緒だった。


それと同時にこの子の今まで現実という世界でどれだけ苦しんできたのだろうっと考えてしまっていた。


考え込む表情の俺に対して彼女は「話を続けてもよろしかったでしょうか?」と聞いてきた。


「ああ、大丈夫だ。俺は君が話した事と答え合わせが一緒でびっくりしただけだから続けて。」


「やっぱり先輩は優しくて素敵です。」


「今朝も女子の制服を着て登校することに抵抗があって学校の近くでモジモジしていたんです。」


「そこに俺が来てぶつかった訳だ」


「はい、頭をぶつけてしまい、ふと考えが浮かんできたのです。この男性がもし、頭をぶつけて私たちの体が入れ替わったって主張したらどうなるのだろうって。」


「結果は…私が想像していた以上の結果でした。」


「先輩はすぐに私の考えを否定せずにどうなったかを真剣に考えてくれました…。」


「私が先輩の名前を聞いてそれは僕の名前だって主張したり、男の体を返せって言った時も………先輩は一生懸命に考えて最善の答えを探そうとしてくれていました。」


「そして答えを話そうとしてくれた時にもう一人のヒーローが来てくれたのです。」


「それが美優か?」


「はい、柏野先輩が現れて私はとっさに自分は朝倉 悟吏なんだ信じてくれって言ってみたのです。」


「そしたら、私の事を(悟くん)って何の疑いもなく言ってくれたんです。」


「悟くんが可愛くてカッコよくなった、これはこれでありだって言ってくれたんです。」


「それから…………頭をぶつけた私を全力で叱ってくれたんです。」


「悟くんは責任を持って白河 純を演じなさいって言ってくれたんです。」


「私はその言葉で救われました。」


「今日は男の子の悟吏から女の子の純に入れ替わったんだって、私は昨日まで男の子で突然、今日初めて女の子になっただけなんだって。」


「それから…………この女の子の制服を着ているのは恥ずかしくて当然なんだだって昨日まで男の子だったんだものって思えるようになりました。」


「心がすごく楽になって学校に行くのが少し怖くなくなりました。」


少しの沈黙のあと…。俺が声を上げた。


「入れ替わった舞台裏ではそんなドラマがあったんだな。」


「ただ、君の理想的なドラマには事実と違う部分が存在する…。」


「私………何か違う事を言いましたか?」

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