第4話 波乱の新学期が始まった
新学期の新クラス、新鮮な気分なはずなのに…すでに疲労困憊。
視界に入るトラブルメーカーの幼馴染。
今日は昼までに学校が終わったのでまっすぐ帰りたい。
もうこれ以上は無理。自分自身の人格が崩壊している事も分かっている。
「純ちゃ~ん」美優が叫びながら俺に近づいてくる。
「純ちゃんじゃない俺は。分かってるんだろ?」と俺は聞き返す。
「つまんな~い」「もう入れ替わりごっこ飽きたの?」
グイグイと質問責めをしてくる。
「お前のせいで疲れたよ、冷静沈着キャラが崩壊したよ。」
「なんで入れ替わりごっこの事を否定しなかったの?」
「無事に収める自信は無かったからな。」
「あの子に頼まれたの?」
「もし、そうだったら楽だったよ。」
「理由があるからやるんだろう?それぐらい分かっているさ。」
理由はおそらく………。
「悟くんは優しいね。」
優しさでやってはいないが、途中で投げ出すのが嫌なだけだ。
「帰らして頂こうか、しばらくほっておいてくれると助かる。」
「面白かったから関わるつもりだけど…ダメ?」
「拗らせ役は必要ない。冷静な対処ができない。」
美優の長所は、自分の探究心に忠実な人間。
誰も拒まないし、誰も嫌ったりしない。誰に対しても公平な態度をとる。
人気者だが、少し、飽きっぽい。
あいつの事を考えるなんて、無駄な時間を使ってしまった。
ふと見渡すと朝に会った桜庭さんがいた。
姿勢や言葉使い、優等生の生活態度を実戦している才女だ。
「あ~。静香ちゃ~ん。一緒に帰ろ?」
「ええ。かまわないけど。いいの?彼?」
「焦らしてさらに好きにしてやる作戦、放置プレイだ。」
見ていたこちらに目が合うと品のいい微笑みと会釈であいさつされた。
なぜ、美優みたいなやつが親友なのだろう?気が合わないだろう。
まあ、気にするだけ時間の無駄だ。
教室を出て正門付近で聞き覚えのある声の人物に声を掛けられた。
自称もう一人の俺である見た目が白河 純という一年生だ。
「あの!先輩!大事な話があるんですけど、お時間をいだだいてもいいですか?」
朝のキャラはどうしたと言うのだ?それは普通に告白のトーンだぞ。
学校の正門で告白シチュエーションの状態にしばらく立ち尽くした二人だったが、俺の方からある提案を申し入れる事にする。
「今から俺は家に帰るところなのだが、君のためにその予定を変えるつもりはない。」
「はい、お時間は取らせません少しだけ話が出来ればいいので…。」白河さんが言った。
「じゃあ家に来い、家でならいくらでも話を聞いてもいい。」
普通の男子高校生がおそらくしない行動を平然と行ってみて彼女の様子を観察してみる。
「先輩が良ければ喜んでお供します。」という答えが帰ってきた。
ん?俺が試されてる?
断るだろ普通。まあ、まだ想定の範囲内なので気にしない。
「じゃあ、行くか。」
「はい。」彼女は付いてくるようだ。
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