第4章 声を大にして叫びたい…1

「…………」


 私、ガイア・ナテラ様配下の配達人で朔と申します。

 現在、配達先の途方にくれてます。


「…なんでポストが二つあるかなぁ……」


 小鳥遊さん製のポストは各神様に一つずつ渡されたはずが、目の前には何故か二つ設置されてて、しかもどっちにも手紙が入りそうな予感に、小鳥遊さんの現在。


「……そーいや、生きてた時もあったなぁ…」


 表札のついた門の側の植え込み付近にあるポストに、配布物を投函すること四年。ある日、家人に遭遇して言われた言葉に涙が出るかと思った。


「いやね。庭の雰囲気に合わせて作ったポストだから、家の裏にあるポストに入れてもらえるかな?こっち、置物扱いだから、中に物があってもほとんど見てないんだよね…」


 …………ポストって何やねん!?


 使わんポストなら投函不可とか、ポストは何処とか書いて頂きたいっ!!

 置物のポストに配達物入れ続けた私の四年間て…。


 飾りポストと言えば、大量のカタログに対し、見かけ重視のポストのお宅の多さに泣けそうな時ーー量的に投函出来ないーー。『カタログ等はこちらにお願いします』と、貼り紙されたポストの下の箱を見た時なんか、その家の人は何て気配りのできる人なんだろうと感動したもので…。


「朔っち、お待たせ~♪」


 と、過去を振り返ってたら、小鳥遊さんが到着しました。


「すみません、お世話になります…」


「いや、これはしょうがないっしょ!」


 苦笑しながらも目の前の二つのポストに触れる小鳥遊さん。


「…朔っち。投函しなくて正解。間違えた方に入れてたら、多分、させられてたかも…」


「…………はい?」


 配達先の神様は、事前情報ではあちらこちらの皆様から『めんどくさがり屋』と聞いてました。しかし、そんな方が似たようなポスト作りますか?


 って、思ってたんですが、させるってことはですよ?配達した証拠隠滅ってことですよね?

 え?神様にケンカ売られた、私??


 そしてお約束です。御影さんも来ました。


「…なるほど。つまり、会議や返事したくなくてにしようとしたって事でしょうね、これ……」


 偽ポストの仕様を聞いた御影さんが納得してます。


「分かりました。根性、叩き治しましょう!」


 スチャッと取り出されたハリセン。毎度どこから出てくるんだろう、あれ……。

 そして、なんの躊躇いもなく即座に神様をハリセンでぶっ叩こうとする御影さん、最強なのでは?






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