第3章 トラブルからのガクブルです!5

 ガシャーーーン!!


 と、辺り一面にガラスが割れて飛び散るような音が響き渡り、現れたのは体育座りをした騎士のような姿の美形のお兄さんでした。


 おおぅ。眼福スチル第二弾!


 勿論、第一弾はガイア様です、はい。


「…御影、ひどい……」


 金髪ベリーショートにエメラルドみたいな緑の瞳を潤ませながら、体がキラキラと輝いていらっしゃるのに、溢れてくる気配は陰陰滅滅としてます。


 お一人で陰陽表現してるって、何かスゴいのでは?


 などと思っている私の目の前では、ハリセンをいつの間にかどっかにやった御影さんが、腰に手を当てお兄さんの目の前に立っています。


「ひどくないです!連絡取りづらくなるから、引きこもらないで下さいと、いつも言ってますよね?」


「……私は傷ついてるんだ…」


 御影さんの言葉に、体育座りしたまんま、お兄さんはブツブツと言い返してますが、何と言うかですね。


 お母さんに叱られて、拗ねてる子供。


 そんな光景に見えてくる不思議ぃ……。


「ガルロン様。眷族いないんだから、引きこもってたら、仕事が溜まっちゃいますよね?どんだけ引きこもってたんです?」


 御影さんがそう言うと、お兄さんーガルロン様が、チラリと私を見ました。


 あ、何かやな予感……。


「……君のせいだ……」


「…は?」


 しっかりと視線を合わされ、ガルロン様にいきなり文句言われたーー!?


 唖然とする私を御影さん達は、首を傾げながら見てきました。


 いや、私も何の事やらさっぱり分かりませんからねっ!!

 そもそも初対面!初対面からのいきなり非難されるって、何でさっ!?


 突然のご指名にパニックですよ、当然です!


「ガルロン様は朔さんとは初対面ですよね?何で、朔さんのせいで引きこもっ…て……」


 そう言いながら、小鳥遊さんと目を合わせた御影さんが、ものすんごく面倒くさそうな顔をされました。


「???」


 視線を向けた先には小鳥遊さんが、指で作った♡マークをくっつけたり離したりしてました。


 え?何かものすごーく巻き込まれた感してきたのですが?


「……あのですね、ガルロン様。朔さんはガイア様の目に止まって、今回お側にいるようになっただけです。今回限りの臨時【神使】です!」


 そうですよ!私、なのです!今回の会議のお手伝い要員です!!


 御影さんの言葉にコクコクと頷くも、向けられる視線は恨みがましいもので……。


「…ガイアは今回の事、ディアルのとこも忙しいから、君達に手伝ってもらえそうにないと言ってたんだ…」


「あー。まあ、いつもの事ですけどね…」


「最早、ディーが何かやらかすのはデフォだもんなぁ…」


 御影さんと小鳥遊さんの目が遠くを見てます。

 皆さん、大変なんですね……。


「…で。お話から察するに、困ったガイア様に手伝いを申し出てポイント稼ごうとしてたら、ガイア様がさっさと朔さん見つけて…ってとこですか?」


 にっこり笑って話す御影さん。

 で、す、が!

 目が全然笑ってませんよ。ねぇ、ホント。神様より怖いって何でっ!?


「…………」


 そして、ガルロン様!

 気まずそうに視線を逸らしてますけど、御影さんの言ってんの当たりですかっ!?


 つまり、それって…。


「「「……八つ当たりじゃん……」」」










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る