第3章 トラブルからのガクブルです!3

「…………うわぁおぅ……」


 見上げる先に浮かぶのは、巨大な長方形の平面。

 高さ的には超高層ビルですか?ってくらい、現在地からは遥か上。


「なるほど、水陸の意味が理解できた…」


 孫悟空状態から、おっきくなったポストの上へと下ろされ、とりあえずポストを設置してもらって投函しようと言うことになりまして、現在、私は投函スタンバイでございます。


 いや、ホント。たっかいわぁ、投函口の場所…。


 チャリに装備されてある機能ボタンの雲マークを押すと、フワンと浮かび上がる。

 ハンドルを少し持ち上げるようにしながら、軽くペダルを踏んでみると、緩やかに上昇していく。


 ……うん。大丈夫っぽい……。


 出だしから目一杯、弾丸ダッシュになったので、そりゃもう気をつけますよ!


 それでも、かなりの高さを上がり、やっと辿り着いた投函口。

 これがまた、チャリ毎飛び込んでいけそうなサイズです。飛び込まないけど…。


「えっと、バカラ様の荷物っと…」


 操作して現れた手紙を手にし、投函口へと押し当てると、スウッと吸い込まれていきました。そして、そのまま私の手が投函口に触れ、ポウッと白く光を放ちました。


「…おおぅ。手紙だけちゃんと吸い込まれてった…」


 吸い込まれましたけど、あの私らサイズの手紙って、ポストの中でおっきくなるんですかね?


 なんて思いながら、確認作業の説明のため、御影さんとバカラ様の待つ空間に戻りました。


 ポストの中は別の空間にあるというややこしさ。


 ダスト・シュートかよっ!!


 と、心の中で叫びます。だって、年齢格差のダメージ辛いんです……。


 そして、やっぱり巨大化していた手紙に、飛ばされました……。


 畳まれた手紙が開かれる風圧で、チャリ毎飛ばされました。

 まあ、チャリ毎なので、空間保護で助かりましたけど、心臓には悪いからっ!


 え?御影さんですか?御影さんは、バカラ様の肩近くにいたので、飛んでった私に慌ててました。


 …うん。多分、私の危機管理能力が低いだけな気がしてきたぞ……。


 そして、履歴確認の説明では、やりたいと駄々をこねたバカラ様に、御影さんがにこやかな笑顔を浮かべたものの、


「言っただけで覚えると思うか?」


 と、胸を自慢げに反らせて仰るバカラ様に、御影さんが、


「確かにっ!」


 と、納得して、急遽呼び出された小鳥遊さん。


 ………ロケットエンジン付きのキックスケーターだとっ!?乗るなら、キックボードではっ!!


 と、オタク丸出しに聞いてみれば、キックボードだと、疲れた時に面倒だったそうです。


 ……あー。もたれかかれますもんねぇ…、納得。


 その後、面白いとはしゃぎだしたバカラ様に、何度も投函に向かわされそうになり、何処から取り出したのかを手にした御影さんにぶっ叩かれて止まりました……。


 え?待って?何でこんな小さなハリセンで、巨人のバカラ様に有効なの??


 呆気に取られる私に、小鳥遊さんが肩をつかんで首を左右に振りました。


「朔っち。ハリセンに突っ込んだら負け♪」


 ……めちゃくちゃイイ笑顔でのお言葉でした。

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