第2章 配達を始めます!2
ピンポーン!
呼び出しボタンを押して、しばらくするとドアの向こうからパタパタと足音が聞こえてきた。
「はーい。お待たせしましたー♪」
ドアを開けて出てきたのは、ショートボブの茶髪の可愛らしい女の人で、服装もどっかの会社の事務員さんみたいな格好だった。
あれ?私、神様達の配達を始めたんだよね?え?事務員さん?事務員さんの神様??
ポカンとなりながらも、頭の中は?マークの嵐である。
「…あ、そのロンTとキャップ!ガイア様のところに新しく入った朔さんだよね?」
パンと愛らしく両手を胸の前で合わせると、その人は私の右腕を掴むなり、室内へと引っ張った。
「ちょうど皆でお茶にしようかって言ってたんだよぉ。一緒にお茶しよう!」
「え、お茶?お茶って?えぇ??」
何か私の事知ってるみたいですけど、私は貴女の事、知らないんですけどぉっ!?
しかも室内はまんま事務所のような感じで、四つの事務用デスクがひと塊に集まり、それぞれのデスク上にはノートPCらしき物が置いてあった。
周りには事務所によくある書類棚も、幾つか置かれてる。
さらにその奥にはパーテーションで仕切られ、ソファーセットが置かれていて…。
だだっ広い空間に事務所のセットが作られてる?みたいな場所だった。
「ナナちゃーん♪朔さんが来たよー♪」
連れていかれた先には、三人の男性と見覚えのある一人の女性が座っていた。
「あ。もう配達始めたんですね。いらっしゃい、朔さん♪」
テーブルを挟んで、三人掛のソファーの片側に御影さん一人が。反対側には長い銀髪の男性を挟むように、男性が二人座っていた。
ただ、何故か両サイドの男性二人は、カジュアルな格好だと言うのに、真ん中の男性だけは、ギリシア神話に出てくる神様みたいな、両肩で布を結んだような感じの服を着てた。
正直言って、違和感が半端ない!でも、多分。この人が神様な気がする!!
状況に頭が追いついていない私を、連れてきた女性は御影さんの隣に座らせると、本人はどこかへ行ってしまった。
「あの、御影さん…。ここは一体…」
銀髪の男性はニコニコしながら私を見てるし、他の二人はなんか気の毒そうな視線を向けてきている。
恐る恐る御影さんの方を向けば、困り顔で肩を竦められた。
「えっとですね。ここは私達を眷族とした創造神、ディアル・マディルの空間になります」
「……じ、事務の神様でしょうか?」
「「ぶふっ!!」」
私の言葉に男性二人が吹き出し、それぞれ肩を震わせながら、外側に顔を向けた。
「じ、事務の神様…。ディーが事務の神様…」
プリンみたいな色合いのポンバドールヘアの男性が、ソファーの背もたれをバンバン叩き出した。
「やべぇ、ツボった…。ディーが事務とか、ぜってぇ潰れる…」
もう一人の黒髪ショートマッシュの男性は、お腹を抱えつつも笑いを堪えていた。
「御影ぇ…。二人がひどいよぉ…」
そう言って、涙目で訴える銀髪の男性の瞳の色は銀色だった。
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