第2章 配達を始めます!1

「そうじゃのう…。とりあえず良く行く場所から始めてもらうかの」


 そう言って、ガイア様に五通の手紙を渡されました。

『万能地図』に備え付けのタッチペンを引き出し、一通一通、タッチペンで触れてくだけで、配達先の神様が登録されていきます。

 初回なんで、『ポストン』と名付けられた神様仕様のポストが入った、小包らしき荷物も持参です。

 何でも今回の神様達は、皆様温厚な方々で、問題なく配達出来るからだそうです。


 ……待って。温厚でない方々は、どうするんだ、これ?


 一抹の不安を覚えながら、まずはコースの最初に指定されている神様の所へ向かいましょう!


『万能地図』をハンドルの真ん中にセットして、Bluetoothイヤホンを装着し、音楽アプリを起動させつつ、ナビも同時に起動させます。

『万能地図』の上側の縁が点滅して、直進の指示を出しています。

 サドルに跨り、軽く深呼吸して、ペダルに足を乗せ、


「行ってきます!」


 右足に力を込めて。左足で地を蹴り、ペダルを漕ぎ始めた瞬間でした。


「ふおおおおおおおおおっ!!!!」


 ひと漕ぎしただけで、周りの景色が線になったぁぁぁぁっ!!


 初めて電動アシスト自転車乗った時も、グンとスピード出て驚いたけど、これ、そんなレベルじゃなーーー一いっ!


 慌ててブレーキをかけると、ヒュンと停止しました。


「ぐえ…」


 慣性により私の体は、前に飛び出そうになって、お腹にハンドルと『万能地図』が食い込みました。


 …あかん。これ、先に走行練習しとかんと、事故るやつ…。


 そんな理由でガイア様に許可を取り、しばらく愛車で走り込んで、体を慣らしていきました。

 まあ、最終的には、〈視覚スキル〉付けてくださって、動体視力上がったので何とか対応できるようにはなりましたけども、止まる時のGに耐える為にと、〈耐性スキル〉まで付けられました。


 …なんか、色々不安になってきたのは、気のせいですかね?


 とにかく後は、都度都度、スマホで連絡するようにと言われ、やっと配達スタートとなりました。


 お気に入りのアニソン聞きながら、ビュンビュン流れていく景色。


 この景色がまた、何とも言えません…。


 CMか?ってくらいに、景色が変わる変わる。おどろおどろしい森のようなところから、いきなり砂漠に出たかと思えば、海の中。

 海の中から溶岩地帯。氷原、宇宙…と、ランダムすぎる景色。


〈耐性スキル〉なかったら、酔ってたかもしれない。


 状態変化のない愛車の固定空間にありがたさが募ります。


「んん?」


 不意に『万能地図』の縁がカラフルに点滅を始めました。

 どうやら、最初の配達先に到着したようです。


「……えーと。事務所??」


 目の前にはビルの中とかでよく見る、事務所とかの入口によくあるドアが、何も無い空間にポツンと存在してました。

 しかも、ドアにチャイムのボタン付いてるし…。


 これは押せってことだよね?押していいやつだよね?






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