第3話 ばぁさんとの再会
冬の寒さは厳しく、暖かい寝床を求め
オレは今住む村を出ようとしていた。
「本当に出て行くのか?」
1匹の猫がオレに近寄り声を掛けてくる
ふっくらと丸く太ったその猫は、1匹の魚を俺の前に投げた。
「コレは?」
「持って行け。婆さんも、もう居ない
新しい家族を見つけるまで食事も必要だろ」
たった1匹だが、無いよりはマシだ。
オレは魚を加えてその場を離れる
村の境目まで来た時、オレは橋の手前で不思議な光景を目にした。
半透明に透き通った年寄りの人間が、オレを見て立っているのだ。
どこか見覚えのある顔だな……
オレは毛を逆立て警戒しながらゆっくりと人間に近寄ると、流れる様に記憶が巡り婆さんとの生活を思い出した。
「団子〜元気しとったかい?」
婆さんは笑顔で駆け寄ってくると、俺の周りをグルグルと周り「少し痩せたか?食事は取ってるのかい?」など…煩くて仕方ない
「死んでどっか行ったと思えばジロジロ見てんなよ」
オレは以前の様に伝えると、婆さんは驚いた顔をしていた。
ん?婆さんが見えてる事に驚いてるのか?
婆さんの方から現れたくせに?
だが、婆さんはオレの考えとは違う答えを口にした。
「団子、お前さん話せるのかい?」
……は?
いや、オレの言葉は人間には「にゃーにゃー」としか聞こえてないんじゃないのか?
どういう事だ??
「婆さん、オレの言葉わかるのか?」
オレが改めて聞いてみると、婆さんはクスクスと笑いそれに答える。
「どうやら、そうみたいじゃね。にしてもこんなに言葉遣いの悪い坊主じゃったとは……」
「……言葉が悪いのは元からだ
婆さんが今まで知らなかっただけだろ。さっさと天国行っちまえよ、オレは旅に出るんだ」
そう言って橋を渡ろうとするオレに対して、婆さんはしつこく付き纏う。
「団子、わしは心配なんじゃ、着いて行って良いじゃろ?」
「来んなよ、前から思ってたけど婆さんウザったいんだ」
「そうなのか?なら黙って着いてくから気にしないでおくれ」
ニコニコの笑顔でオレの後ろを着いて歩く婆さん
何でそうなるんだ?
オレは何でこんな婆さんをずっと待っていたんだか……
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