第224話 アイスの考え
「す、すごい! 大金をあんなにあっさり――い、一体何者、アイ、気になる!」
ウィン姉の言動を見てアイスが興味津々だよ! そういえば支援の関係で弱みを握られているんだっけ。それでなのかな――
「お姉様。一体何をしたらそんなに稼げるのか教えて欲しい」
「ん? 私は冒険者をやってたら自然と稼げたぞ?」
「そんなに! アイも冒険者! それぐらい稼ぐこと出来る?」
「フンッ。それは今後の貴様次第だろうな。まぁ私のようなAランク冒険者になればそこそこ稼げると思うぞ」
「――ッ! し、師匠! アイも貴方のような稼げる冒険者になりたい!」
無表情なことが多かったアイスがキラキラ目でウィン姉を見てるよ! まさかアイスがこんな風になるとはそれに師匠って……。
でも確かにウィン姉ってAランク冒険者だしね。実力も確かなんだけど、そういえばどれだけ稼いでるかなんて僕も良くは知らなかったね。
「――ネロのお姉さんってそんなに稼いでるんだね。驚いたかも」
話を聞いたエクレアも目を丸くしているね。
「ふむ。言われてみればあまり気にしてなかったな。破壊した分も差し引かれるが合計でいけばプラスになってるようだからな。それなりなんだろう」
破壊した分って何! さらりととんでもない事実が組み込まれている気がするよ!
「師匠みたいになれればもうアクシス家に従う必要ない! 家も救える!」
アイスが握り拳を作って張り切っていた。動機はともあれやる気になったらいいのかな?
「どうでもいいが私は貴様の師匠になった覚えはないぞ」
「そこを何とかお願いしたい! アイを弟子にしてください!」
「だが断る!」
「何がだが!?」
唐突なウィン姉の返しに驚きを隠せないよ!
「それにだ、本気で稼ぎたければ人のマネなんてしても仕方がない。お前自身が成長しなければな」
「う……」
ウィン姉の返答にアイスが肩を落とした。う~ん言ってることはわかるけどね。
「ウィン姉、アイスもこう言ってるわけだし少しは協力出来ないかな?」
「仕方のない奴だ! ずっとついているわけにはいかないが多少は面倒見てやってもいいぞ!」
「本当!?」
急に認めてくれたよ! ま、まぁいいことだけどね。アイスも喜んでくれてるようだし。
「うむ。女に二言はない! だがその前に本題に入る必要があるだろう。とにかくアクシス領に向かわなければいけないのだからな」
うん。そうだったね。今一番大事なのはそこだよ。
「……それならアイスにいい考えがある」
話を戻したところでアイスが口を開いた。
「いい考え?」
「うん。アイならアクシス家に問題なく入れる。厳しくなっていてもブリザール家を名乗れば多分大丈夫」
「そうなんだね。でも、だとしても私たちは顔が知られてるから一緒には難しいような……」
アイの考えを聞いたエクレアが難しい顔をした。確かにそこが一番の問題かも。
「うん。だから変装していく!」
「へ、変装!?」
「スピィ!?」
アイの提案に僕は驚いてしまった。まさかそんな単純な手で? でも確かに他に手はなさそうだし……。
「でも僕とウィン姉が変装ぐらいでいけるかな?」
「それなら大丈夫。ザックスを覚えてる?」
アイスが聞いてきたけど、確かアイスと一緒にパーティーを組んでいた仲間だよね。
「うん。試験で一緒だったよね」
「そう。あのザックスが聞いてもないのに姉がメイクアップが得意とか言っていた」
い、言い方が中々辛辣だけどなるほどね。それなら確かに変装にはいいのかも――
「そのザックスというのはどこにいるのだ?」
「ノーランドにいるはず。姉がいて用事があって会いに行くと言っていた。今からいけば会えるはず!」
アイスが張り切っているね。というわけで急遽僕たちはまたノーランドに戻ることになったわけだけど――
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