第219話 ガイの正体
「弟よ。私が知る限りのガイのことを伝えようと思う。大丈夫か?」
「……うん。知りたい。ガイだけじゃない。栄光の軌跡のみんなが今どういう状況なのか知りたいんだ」
「ネロ……あ、あの私も聞きたいです! ガイは勿論エクレアやセレナがどうなっているかも!」
「スピィ!」
僕は覚悟を決めた。ずっと逃げていたけどもう目をそむけてはいられない。それはエクレアも一緒だったしスイムも同じ気持ちのようだった。
「わかった。先ずセレナという子については捕まった中には名前はない。そういった意味ではとりあえずは安心かもしれないぞ」
ウィン姉が先ずセレナについて教えてくれた。確かにそこは一安心かもだけど、それについては予想もついていた。あの時フレアはセレナに関してガイやフィアとは異なる対応していた。
ただ教会に連れ帰ってもらうような話もあった筈だ。セレナは教会と何か関係があったかもしれない。
「次はフィアに関してだが――この子に関しては現在、冒険者ギルドの管理局預かりとなっているようだ。ガイとの共犯扱いではあるが今後どうなるかはまだわからない、が、この子もすぐにどうこうということはないだろう」
「そうなんた。でもフィア……ひどい目にあってないといいけど……」
「スピィ……」
エクレアとスイムが心配そうな顔をしていた。僕も同じ気持ちだ。
「大丈夫かなフィア……」
「流石に管理局預かりになっている以上、局員も下手なことは出来ないと思うぞ。まぁ心配なら、もし非人道的なことでもしていたら乗り込んで暴れてやると忠告しておこう」
ウィン姉が任せろと言わんばかりの顔で答えた。こういう時は本当に頼りになるよ。
「しかし我が愛しの弟よ。しばらく見ない間に随分と仲の良い女が増えたのだな。それで一体どういう関係なのだ?」
「え! いや、な、仲間だよ! みんな大切な僕の仲間!」
何か凄い迫力でウィン姉が顔を近づけてきたよ。よくわからないけどとにかく仲間だと強調させてもらったよ!
「本当にだな? 特別な関係ではないのだな?」
「ち、違う違う!」
「そこのエクレアともだな?」
「え、あ、うん」
「何だ今の間は~~~~~~!」
ウィン姉が涙を流して迫ってきたよ! いや僕もよくわからないけど、何故か答えにこまったんだよ~!
「お前も何を頬を赤くしているのだ!」
「え? あ、いや、その、そ、それよりもいちばん大事なガイについてまだ聞いてないですよね!」
「スピィ……」
エクレアが話を変えてくれたよ! 何だかグッジョブ! そして何故かスイムが呆れた顔をしているような気がするよ!
「むぅ、まぁ良い。そうだな。ガイについてだが――正直芳しくない状況だ。ガイについてはアクシス家に引き渡され公爵領で刑が執行される予定だからだ」
「そんな!」
まさがガイがアクシス家に連行されてるなんて――
「でも、なんで。どうしてガイがアクシス家に?」
「どうやらガイの父親が一枚噛んでいるようだな。マイト家はアクシス家で持っていたようなものだからな。そのあたりの事情が関係しているのかもしれない」
「え?」
その話に僕は耳を疑った。だって今たしかにマイト家と言ったのだから。
「マイト家ってどういうこと? ガイとマイト家が関係しているの?」
「……弟よまさか知らなかったのか? ガイはマイト家の長男のガイだぞ。昔は家にも来ていたと思ったが」
ウィン姉の話で僕は後頭部を鉄槌で殴り飛ばされたかのような衝撃を受けた。
でも、たしかにそうだ。昔屋敷にマイト家の長男が来ていた事がある。ただその時のガイは今と随分と雰囲気が違っていた。
ガイはどこか遠慮がちな少年だった。そんなガイに声を掛けて当時僕は一緒に遊ぶようになっていた。だけどいつしかうちに来ることは無くなったんだ。
だけどあの時は僕もガイを家名の方で呼んでいたから名前を聞いてなかった。その前にこなくなったからね。
それに雰囲気も全然違っていたから僕はこれまで全くきがついていなかったんだ。
「だけどなんでガイは何も言ってくれなかったんだ……」
「――もしかしたらそれと今回の事件が関係しているのかも知れないな」
ふと、ウィン姉がそんなことを呟いた。ガイがマイト家の人間だと教えてくれなかった事と事件が?
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