第217話 突然乱入する姉
「僕は一体どうすれば――」
ガイが捕まってしまってから僕はウジウジと考えてばっかりだ。折角エクレアが毎日部屋まで来てくれているのに、情けないことばかり言って困らせている。
こんな僕じゃきっとスイムも呆れているよね……最近はエクレアに預かって貰っているのも、こんな情けない姿を見てほしくなかっただけかもしれない。
でも、このままじゃダメだ。それは僕だってわかってる。ガイ――確かに僕はガイから追放された。
でも、今思えばそれは僕を気にかけてのことだったかもしれない。それにハイルトンが死んだのも僕やエクレアと戦い負傷した後らしい。
そのタイミングで本当にガイたちがハイルトン相手に行動に移したならたまたまと考えるにはタイミングが良すぎる気がする。
でも、こんなのは憶測でしか無い。今となっては本人に直接聞くわけにもいかない。それにこの考え通りだとしてもガイがハイルトンに手を出したのは間違いないことになる――。
「はぁ――僕はどうしたらいいんだ」
結局考えがまとまらない。いや、ただ臆病なだけなんだ……。
そんなことを考えているとドアをノックする音が聞こえた。
「ネロいる? 実はネロに会いたいって人と一緒に来ているのだけど」
エクレアの声だった。朝来てくれてからまだそんなに時間は経ってない気がするんだけど、それに会いたい人?
どうしよう……対応したほうがいいか。でもどうしてもそんな気にならない。
「ネロ、いないの?」
「スピィ~?」
エクレアの声が続く。スイムの鳴き声もした。でも、ごめんね。やっぱり僕はまだそんな気になれない――
「いないのかな?」
「そんな筈はない! 私にはわかる! 愛する弟の匂いがするのだ!」
え? ちょっと待って。この声って、まさか?
「いるのだろうアイラブ弟! ネロ~~~~~~~~~!」
僕が声の主を思い出していたその時、雄叫びに近い声がしてドン! とドアが吹っ飛んだ、て!
「えぇええぇええぇえええぇええ!」
僕は思わずベッドから飛び上がり声を上げた。まさか問答無用でドアが破壊されるなんて! いや、もし僕の思い描いた人ならそれもおかしくないかもしれないよ!
「ムッ! やはりいたではないか! ネロ~~~~~~!」
「グェッ!?」
そしてまさに思い描いていた人物、僕の姉であるウィン姉がタックルしてきて僕はベッドに押し倒された。
おかげで思わず悲鳴が漏れた。だってウィン姉のパワーは凄まじんだ。そんなパワーで突撃されたら悲鳴の一つも漏れてしまうよ!
「ネロやっと会えた! 寂しかったぞぉおぉぉおお!」
「ちょ、ウィン! ネロが口から泡を吹いているよ!」
「むぅ? こ、これは! 一体誰にやられたのだネロ!」
意識が遠のきそうになる中、ウィン姉の声と一緒にエクレアの声も聞こえてきた。うぅ、そんなに頭を揺らされたら、目が目がぁ――
「ウィン少し落ち着いて! ネロがおかしくなっちゃう!」
「スピィ!」
――結局エクレアが止めてくれたおかげで僕は事なきを得た。いや、でも、どうしてウィン姉がここに?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます