第163話 ネロたちの素材集め

「よし! これでBランクの素材をゲットだね!」

「うん。やっぱりこのあたりで採取していくのが無難かなぁ?」

「スピィ~♪」

 

 リストにあったホースバッファローを倒し素材を手に入れた。今話したようにリストで言えばBランクにあたる素材だよ。


「だけどこの大きさだと一度戻って査定してもらわないとね」

「うん。魔導具とかで収納が禁止というのも結構大変だよね」

「スピィ~――」


 エクレアと話しているとスイムもちょっと残念そうな声を上げていた。いつもならスイムが素材とかを体内に収納してくれていたからね。


 スイムもきっと何かしら手伝いたいと思ってくれているのかも。でも特殊な方法での収納禁止だからそれも出来なくて気にしているのかもね。


「今回はこういうルールだから仕方ないよ。それにスイムは一緒にいてくれるだけでも僕たちは安心できるからね」

「そうだよスイム。フフッこうやって撫でていてもすごく癒やされるよ~」

「スピィ♪」


 エクレアに撫でられてスイムも嬉しそうだね。とりあえず素材は僕とエクレアでわけあって持っていくことにしたよ。皮とか肉、それに角が素材としてカウントされるようだからね。


「縄と袋を持ってきておいてよかったね」

「うん。魔導具じゃないなら使えるからね」


 何かがあった時の為に僕たちも色々と準備しておいてよかったよね。


「おや? 君たちもこっちにきていたんだねぇ」


 素材を袋に詰めているところに声が掛かった。見ると顔の右側に仮面を付けたライトがすぐそこまで来ていた。


「ライトさん。皆さんもこちらで? あ、でも他のみんなは?」


 ライトは仮面人格というパーティーのリーダーという話だった。でも他にいた三人は一緒ではないみたいだね。


「いや~それがね、みんなどうやら僕と逸れちゃったみたいでね。本当にこまったものだよねぇ」


 笑いながらライトが答えてくれたけど、えっとそれってもしかして――彼の方が逸れちゃったのでは?


「ところでここはどのあたりかな? 地図とリストは他のみんなが持っていてね。いやぁ困るよねぇ。本当三人とも勝手に逸れちゃうんだから」

「あはは……」

「スピィ――」


 エクレアとスイムがどことなく呆れ顔だ。二人とも僕と同じ考えなのかもしれないよ。


「ところでみんなは調子どうなのかな? もう素材集まったのかな?」

「えっと、今倒した――」

 

 僕がライトに答えようとしたところでエクレアがぐいっと袖を引っ張った。


 見ると厳しい顔で首を左右に振っていた。


「素材については答えられないわ。こっちも合格が掛かってるもの」


 そしてライトに向かってエクレアがはっきりと言い放った。エクレア、さすがだよ。全く気付いてなかった僕が情けないよ。


 確かに今は試験の真っ最中。しかもルール上、素材の横取りも許可されている。そんな状態なのにこちらの情報をペラペラと話すべきじゃないんだ。


「あはは、それもそうか、さすがに言えるわけないよねぇ」


 そう言ってライトは困ったように頭を掻いていた。雰囲気的に横取りしそうなタイプには思えないけど、いやそこが僕の駄目なところなのかもしれない。


 もう少し人を疑うことも覚えないと。


「でもそうやって警戒心を持つことはいい事だね。いつ何がおきるかわからないから――」

『お前たちは自らの運命を受け入れるか?』


 ライトと話していると突如どこからか声が振ってきた。周囲には誰もいない。それにこの声は――


「ネロ! 上に誰かいるよ!」

「スピィ!」


 エクレアとスイムが警戒の声を上げた。やっぱり上から聞こえていたもんね。そして僕も頭を上げて声の主を確認する。


 それは顔全体に白と黒の二色にわかれた仮面をつけた何者かだった。それが空中に浮いた状態で僕たちを見下ろしていた。


 これは、紋章の力だろうか? それにしても仮面って――


「えっと、もしかしてライトさんのお知り合いですか?」

「いやいや! 世の中の仮面をつけた人が全員仲良しってわけじゃないからね!」


 一応確認したけどやっぱり違うようだね。ライトが慌てて否定していた。


 でもだとすると一体何者なんだろう――

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