第154話 不機嫌なガイ
結局不合格を言い渡されて冒険者たちはチャンスを活かせなかった。僕とガイもやられることはなかったしね。
「ふぅ。何とか不合格にならなくて済んだね」
「は? 何いってやがる。お前も余裕だったじゃねぇか。正直俺も物足りないぜ。だからあんた、俺ともやろうぜ」
へ? ガイ何言ってるの!? 何故かガイがシルバを指さして挑発しだしたよ!
「何だ俺と遊びたいのか? ハハッ、なかなか生きがいいな。よしわかった!」
「わからないでください!」
ガイの挑発にシルバが乗り出した!? でも、もう一人の試験官であるビスクが険しい顔でシルバに詰め寄ったよ。
「いい加減にしてください! ただでさえ予定外のことして時間もおしてるんですよ!」
「そんなカリカリするなって。それにどうせそんなに時間かからねぇよ」
「あん?」
ビスクは相当不機嫌だ。試験のことを気にしてるみたいだよ。確かにさっきの冒険者の件といい予定外のことが起きてそうだもんね……。
ただ、今のシルバの台詞でガイが不機嫌に……頭に血がのぼってそうだよ。
「俺を簡単に倒せるっていいたいのか?」
「はははそりゃそうだろう」
「んだとコラッ!」
「ガイ。もうやめましょう。これ以上意地を張る意味がないです」
シルバ相手に喧嘩腰で迫るガイ。するとセレナが心配そうにガイを宥めていた。
「セレナの言う通り。これ以上は意味ないよ。それより試験に集中したほうがいいと思う」
「スピィ~」
僕はセレナに追随して僕もスイムもやめたほうがいいと伝えた。とにかく一旦落ち着いてほしいよ。
「セレナとネロの言うとおりよ。大体ガイは自意識過剰なのよ。試験官相手に勝てるわけないじゃない」
「フィアそれ逆効果かも――」
フィアも僕らと同じ気持ちだったからそんなことを言ったんだと思うけど、エクレアの言う通りガイ相手にその言い方はあまり良くなかったかも――
「うるせぇ! 試験に挑むからこそ俺の実力がどれだけ通じるか試すんだろうが! おい! 簡単に倒せるか試してみろや。さっさと始めるぞ!」
あぁやっぱり。かえってガイが意固地に――
「そんなこと一々口にするな馬鹿。格下なんだから好きなタイミングで好きに攻撃してくりゃいいんだよ」
試験官のシルバも挑発めいた台詞を吐き出してるよ。これはもうガイも止まらない――
「吠え面かくなよ! 勇魔法・大地剣!」
ガイが得意とする魔法の一つだ。ガイが地面に剣を突き立てるとシルバの足下が変化し剣になって突き上がった。
だけどその時には既にシルバは上空にいた。背中には銀色の翼が生えていた。
「武芸・銀翼の飛翔――」
シルバはそのまま飛翔しガイに向けて急降下。高速でガイに迫る。
「こんな単純な攻撃あたるかよ!」
だけどガイは横にステップして突撃を避けたのだけど。
「グベッ!?」
避けた筈のガイが転倒した。いや違う。後ろから引っ張られてバランスを崩したんだ。
ガイの足にはいつの間にか銀色の鎖が絡まっていた。だから転んだんだ。
それはシルバの腕から伸びていてそのままガイは地面を引きずられてしまったよ!
「ぐががっ! ち、畜生が! 調子に乗ってんじゃねぇ!」
だけどガイもただやられてばかりじゃない。剣で鎖と断ち切りすぐに立ち上がった――のだけどその時には距離を詰めていたシルバの槍がガイの喉に突きつけられていた。
「はい終わり俺の勝ちっと。何か異論ある?」
「ぐっ、ない、です――」
そしてシルバが槍をしまった。だけどこれってガイが負けたわけで、そういえばこの後の試験はどうなるの!?
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