第七章 Cランク試験への挑戦
第144話 ギルドで謝罪を受けました
「本当にごめんなさい!」
ガイに言われた通り僕たちはウォルトの町に戻ってすぐに冒険者ギルドに顔を出した。
そこでフルールに頭を下げられたよ。スキルジュエルのこともそうだけど報酬の支払いも残っていたらしいね。
「頭を上げてください。あんなことがあった後ですから仕方ないですよ」
「うぅ。ごめんね。ギルドマスターからの許可も貰ったので報酬には色を付けておくね」
そこまでされると逆に申し訳ない気もするけど、ギルドのミスだからということで無下にもできないので上乗せされた金額でギルドカードに登録して貰った。
「それとこれがスキルジュエルだよ。こんな大事なの本当にごめんねぇ」
「大丈夫ですよ。そんなに気にしないで」
「スピィ~」
落ち込むフルールをエクレアとスイムも励ましていた。誰にでもミスはあるもんね。僕だってポカすることあるし。
「ところでどんなスキルジュエルだったのですか?」
僕が聞いた。やっぱりスキルジュエルの効果が気になる。
「そうね。このスキルジュエルはルビーで会心のスキルを得られるわ」
フルールがそう教えてくれた。ルビーというとBランクのスキルジュエルだね。
「会心というのはどんな効果なんですか?」
「攻撃を当てた時に威力が跳ね上がる事があるみたいね。防御も無視されるから大ダメージを期待出来るわよ」
そうフルールが教えてくれた。自分の意思で発動するわけじゃなくて装備しておけば発動する可能性が生まれるスキルらしいね。
「それならこれはエクレアが持っていた方がいいね」
「え? いいの?」
「うん。僕は直接戦闘するタイプじゃないし」
「私もそれがいいと思うわよ。スキルジュエル用の腕輪もサービスしておくからね」
フルールも僕の意見に同意してくれた。腕輪はジュエルが三つ嵌められるタイプだった。他にスキルジュエル見つけた後でも追加出来るね。
しかも腕輪は僕にもくれた。何だか嬉しい。
「二人が優しくて本当助かったわ。勿論私も反省しないとだけどね」
フルールがそう言った。とにかくこれで残ってたことは終わったね。
「後は――Cランク試験よね」
「そういえば試験はどこで行われるのですか?」
丁度良くフルールが試験について触れてくれたので聞いてみた。試験はもうすぐ始まるしそろそろ決まってるかも。
「それが今年の試験はまだ発表ないのよ。試験官によって方法は変わるらしいんだけどね。多分そろそろ内容について届くと思うからもう少し待ってくれる?」
「そうなんですねわかりました」
「でも何だかドキドキするね」
「スピィ~」
フルールから話を聞いた後、僕たちはギルドを出た。試験までの間は少し休んで英気を養ったら? とも勧められたしね。
「でもちょっとは時間あるし簡単な依頼は受けてもいいかもね」
「何もしてなくても体がなまっちゃうもんねぇ」
「スピィ~」
――バシャンッ!
「え?」
ギルドを出て歩いていると突然僕の体がびしょ濡れになった。見るとホースを持った中年の女性が僕たちを睨んでいた。
どうやらこの人が僕に水を掛けたようだけど。
「ちょ、何するの!」
「スピィ!」
「ふん。あんた水の紋章持ちなんだろ? だったら水が大好きなんだろうさ」
エクレアが抗議の声を上げるも相手の女性は気分が悪そうにしていた。
正直水の紋章持ちということで馬鹿にされたり差別的な扱いを受けたことはある。
だけどこの人からはそういった物とは別の空気を感じたんだ――
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