第142話 出来上がった新装備
「本当にありがとうございます」
あれから数日経ち完成した杖を見せてもらって僕はワンにお礼を伝えた。
出来上がったの以前の杖をベースにしっかり改良されていて一見シンプルだけど機能性に優れていた。
柄の部分が伸縮可能になっていたのも大きい。このおかげで普段は腰に装着して持ち運べるため両手が空くのだ。
しかも魔石も職人芸と言える繊細な加工が施されており本来の効果を十全に引き出せていることは持っただけでわかった程だ。
「フフッ。流石ワンね見ただけでいい杖ってわかるわぁ。観世復活ってところね。さて次は私からこれね。自信作よ着てみてね」
その後は強面の男性が仕立て上げたローブを着るよう勧めてきた。この方が以前ワンがお願いしていたセンツ。
腕の良い服飾職人らしくローブの作成もお手の物だったようだ。僕のだけじゃなくてセレナやフィアのローブも仕立ててくれて全員新品のローブに着替えさせてもらった。
あ、勿論僕と女性二人は別々に着替えたけどね。
「あら~良く似合ってるじゃな~い」
センツは見た目こそ強面の男性なんだけど話し言葉は女性っぽくて気さくな方だった。
最初の採寸の時はちょっと驚いたけど仕事も丁寧で信頼できる職人さんって感じだね。
「ウフッ。あなた達もと~っても素敵よ♪」
ゼンツは着替えたセレナとフィアの格好を認めてからもうっとりとした顔で感想を伝えていた。
「本当元がいいとやっぱり映えるわねぇ」
それに関しては僕も同意だった。セレナもフィアも綺麗だからね。セレナは白フィアは赤でローブというよりはドレスに近い見た目になっている。
ちょっと露出度が上がった気がしたドキドキするけどね……フィアのドレスにはスリットという隙間が入って靭やかな脚部がチラチラ見えるしフィアはなんというか大きい部分が強調されてるような……。
ただ説明によると僕のローブも二人のドレスローブ(センツがそう呼んでいた)もこれまでより防御効果が高いらしい。
それに一役買っているのがケツアルカトルから貰っていた鱗だ。僕のローブの首元は勿論セレナとフィアにも加工された鱗がアクセントとして取り入れられている。
このおかげで新調されたローブは物理的にも魔法的にも防御効果が高くなっているとのことだった。
「ネロとフィアの杖にも鱗を取り入れてるからな。ネロは今までの半分の魔力で威力を損なうことなく行使出来るはずだ。そっちの嬢ちゃんのは魔法制御がしやすい仕様にしてある」
このワンの発言にフィアが驚いていた。
「どうしてその事を? 私特に何も言ってないのに」
「そんなもの杖を見ればわかる。とは言えあくまで補助だ。自分の力で制御出来るのが一番なんだからそれを忘れるなよ」
「……わかってるわよ。でも、ありがとう」
フィアがワンにお礼を言っていたよ。セレナも隣で優しく微笑んでいた。
僕もお礼を言ったよ。これまでの半分の魔力で済むのは本当に助かる。
「はい。貴方にはこれね」
「スピッ? スピィ~スピィ~♪」
センツがスイムにアクセサリーを付けてくれた。魔力に反応してくっつく使用らしいね。しかもしっかり防御効果があるようでスイムもピョンピョン跳ねて喜んでいるよ。
さて僕たちはこれで装備は揃ったのだけど――
「ただいまー。わ、皆凄い似合ってる!」
そこでエクレアが工房から戻ってきた。エクレアも新しい装備が出来たのでガラン工房に取りに行っていたのだ。
エクレアは僕たちの格好を見て似合ってると言ってくれたけどエクレアもすごくよくなっていたよ。
改良された鉄槌も胸当ても雷を意識したデザインみたいだけどそれが活発なエクレアに凄くはまってるんだよね。
「エクレアも凄くよく似合ってるよ」
「本当可愛い!」
「とても素敵です」
「スピィ~♪」
「えへへ~ありがとう」
エクレアが照れくさそうに笑っていた。新しい装備と相まって凄く可愛らしく思えるよ。
「――ここにいたか」
「あ、ガイ」
するとワンの店に入ってくるガイの姿。そうか実家から戻ってきたんだね。
何か久しぶりに皆揃った気がするよ――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます