第121話 ケツアルカトルからのお礼
「えっと、その、えっと……」
「もう二人共。ネロもそのままじゃ動きにくいし大事な話を聞いてるんだから少しは弁えてください」
僕が戸惑っているとセレナが二人を注意したよ。フィアもエクレアもちょっと反省した感じで離れたけど、それはそれで少し残念な気も、いや何を言ってるの僕。
「スピィ……」
「スイムは離れなくてもいいんだからね」
「! スピィ~♪」
どうやらスイムは二人みたいにしたほうがいいのかなと心配だったみたいだけど、スイムはこれまでもずっといっしょだったわけだしね。
スイムが僕の肩に乗ったまま嬉しそうに擦り寄ってきた。頭をそっとなでてあげる。
これで二人の感触で火照った体をちょっと落ち着かせた。二人は美少女だし話の流れでちょっとくっついちゃっただけだとは思うけどやっぱり照れくさい。
「それでどうなのよ?」
『……う、うむ。爆の紋章といっていたな。そもそも水は様々な属性を取り入れることで強化される属性でもある。爆も協力ではあるが条件を揃える必要があるだろう』
そうなんだね。でも属性を取り入れるか。言われてみれば――
「そういえばアペプを倒したのもセレナの生魔法と水魔法を組み合わせたからでした」
『なるほど、そうであったか。確かにあの相手であれば有効な手であっただろう』
ケツアルカトルが深く頷いた。やっぱり生命の水みたいにするのが逆に有効だったんだね。
「それにしてもその条件というのは教えてくれないのね」
『――すまぬな。だがそなたらであればいずれ答えを導き出せるであろう』
意味深な答えではあったけど何でもかんでも教えてもらうというのも都合良すぎな気がするもんね。
『――とは言えそなたらの力で助けられた。その御礼はせねばなるまい。何か願いはあるか? 可能な限りは叶えたいと思う』
ケツアルカトルが僕たちに向けてお礼したいと言ってきたよ。急に言われて驚きだけど……。
「どうしようかみんな?」
「くれるというなら貰っておけばいいじゃない」
「そうだね。ネロの欲しい物を何か言ってみたらいいんじゃない?」
フィアとエクレアはお礼はありがたく受け取った方がいいという考えみたいだ。
「せっかくの厚意ですからね。ネロにお任せしますが」
「スピィ~♪」
セレナも二人に同意なようだよ。スイムは何が貰えるか楽しみな様子。
とは言っても何が欲しいかは僕任せみたいだけど――よく考えたら丁度欲しい物があったことを思い出したよ。
「実は今素材を探していて元々ここには水の魔石を採取に来たのですが、それは手に入りますか?」
『ふむ。そんなものでいいのか。ならば――』
するとケツアルカトルが地面に顔を近づけて口を開いた。すると口から大きな魔石を二個吐き出してくれた。
『水だけではなく雷の魔石もサービスしておこう。そこの娘には役立つことだろう』
「え? い、いいの私まで?」
『どちらにせよ我が持っていても仕方ないのでな。それと他の二人に役立つかはわからぬがこれも持っていくがよい』
体を持ち上げケツアルカトルが体を振ると鱗がパラパラと落ちてきた。
「わ~綺麗な鱗」
エクレアが鱗を手にとって目を輝かせた。確かに宝石みたいに綺麗な鱗だよ。
「えっと、こんなに貰ってもいいのですか?」
『この程度でいいなら安いものだ』
そうなんだ。でもこの水の魔石もすごく綺麗だし何か持ってるだけで良質な物だってわかるほど。エクレアも感動しているしね。
でもおかげで目的の物も手に入れることが出来たよ!
「ありがとうございます。色々と聞かせてもらってこんな貴重なものまで」
『今もいったがこの程度大したことではない。本来ならもっとしっかりとしたお礼が必要だと思うが――残念だがもう少し~
休息……そうかずっとあの化け物のせいで身動きとれなかったわけだし調子も悪くなるよね。
そうなるとあまり長居するのも悪いよね。だからそこからは話もそこそこに改めてお礼を言って僕たちはその場から離れることにした。
しばらく休んだらケツアルカトルも元気になってくれたらいいけどね――
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