第119話 地底湖の秘密
化け物は何とか倒すことが出来た。セレナの属性と僕の水魔法が組み合わさったおかげだ。
勿論要因はそれだけじゃないけどね。スイムが助かったのもエクレアやフィアがあの化け物の注意を引き付けてくれていたおかげだし。
「見て完全に崩れ去ったわ!」
エクレアが指差した方を見ると化け物がボロボロと崩れ去りそのまま消え去ったのが確認出来た。
これでもう心配はいらない。
「ネロ。その手の甲」
するとフィアが僕の右手を見ながら不思議そうに口にした。
「手が光ってます……」
セレナが祈るようなポーズで呟いた。
「うん。紋章が光ってるね」
「前に言ってた紋章なのね……私には見えないけど……」
エクレアは僕の紋章が見えてる。フィアは紋章は確認出来ないけど光っているのはわかるようだ。
「スピィ~! スピィ~!」
すると今度はスイムが地面に降り足に擦り寄りながら何かを訴えかけてきた。
「えっと、紋章が気になるの?」
「スピィ!」
どうやらそうらしい。僕は光ってる紋章をスイムに近づけてみた。
「スピィ――」
「え? スイム?」
僕が賢者の紋章を近づけるとスイムの体も淡い光に包まれた。それと同時に水の紋章も輝き始める。
「両手が光ってる……」
「何だか綺麗――」
「とても神秘的な光です」
フィア、エクレア、セレナが思い思いの言葉を口にしていた。
何だかむず痒い感じだけどね。
「スピッ!」
すると今度はスイムが――地底湖に飛び込んだ。て!
「スイムそんな汚れた水に――え?」
「スピィ――」
僕の両手の紋章が眩いばかりに光り輝きかと思えんばスイムを中心に青白光が波紋のように広かっていった。
黒く濁っていた水が綺麗な透明感溢れる水に変わっていく――
「スピィ~……」
「す、凄い! 凄いよスイム!」
水面からスイムを抱きかかえ称賛するとスイムもプルプル震えて嬉しそうにしていた。
「うん。スイムってば本当に凄い子だね!」
エクレアも隣に立ってスイムを撫でる。フィアとセレナもスイムに感心しているね。
「スイムも凄いけどネロも絶対関係あるわよね」
「えぇ。まったくないとは思えません」
フィアとセレナはスイムに感心すると同時に僕との関係性も考えたようだ。
う~ん、確かに最初に光ったのは僕の賢者の紋章なんだよね。
「やっぱり何か関係あるのかな……」
「ネロには理由わからないの?」
「うん。こんなこと初めてだしね」
改めて賢者の紋章と水の紋章を見たけどもう光は収まっていた。
「そういえば――洞窟全体に溢れていた不穏な空気も消え去りました」
「だとしたらさっきの化け物も消えてたりするかしら?」
「だったらいいんだけどね」
「スピィ~」
セレナは生命力を感知出来る関係で周囲の空気には敏感だ。
フィアもそれを知ってるからか来る途中で出会ったあの厄介な敵と戦わなくていいかもしれないと期待しているようだ。
エクレアとスイムもね。
『――この穢れた水を元に戻したのはお前たちか?』
「え?」
その時、今度は水の中から何者かの声が発せられ頭の中に響いてきた。
どうやら僕だけじゃなく皆にも聞こえていたよようで目を白黒させている。
すると――水柱が上がりさっきとは別の巨大な蛇が姿を見せたんだ……。
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