第30話 ダンジョン探索
ダンジョンの入り口はわりとポピュラーなタイプ。山の岸壁にぽっかりと開いた穴って感じだ。
これも場所によっては神殿の入り口みたいになってることもあれば形が城だったり塔だったりすることもあるらしいね。
「ちょっと緊張してきたかも」
「うん。初めて入るダンジョンはドキドキするよね」
ダンジョンは各地にある。既に成長限界を迎えて攻略され消えていったダンジョンも多いけど、定期的に生まれるからね。
そしていよいよ僕たちはダンジョンの中に足を踏み入れる。
「中は結構明るいね」
「うん。ダンジョンは比較的明るいことが多いよね」
ダンジョンは普通の洞窟と違って明かりが確保されている場合が多い。ただ場所によって急に暗くなることもある。これも罠の一種と考えられているけど、そういう時のために魔法のトーチなんかを持ってきてるんだ。
「わりと一本道な感じ。一層だからまだ簡単かな」
「そうかもしれないね。あ、でも歩くなら出来るだけ壁沿いを意識した方がいいかも」
「え?」
エクレアが不思議そうな顔を見せたその時、カチッという男がして壁から矢が発射された。
「危ない!」
「キャッ!」
エクレアに飛びついて矢を避けた。そのまま地面に転がってしまう。
「ふぅ、危なかった。大丈夫?」
「う、うん――」
あれ? エクレアの顔が紅い――て、しまった! 思わず押し倒すような格好に!
「ご、ごめん!」
「い、いいよ。だって庇ってくれたんだし」
すぐに飛び退いた。確かに矢から助けるのが目的だったけど、とは言えやっぱり失礼なことしちゃったかも。実は怒ってるんじゃ……。
「ありがとうね。ネロがいなかったらいきなり怪我をするところだったよ」
微笑みを浮かべてエクレアがお礼を伝えてくる。僕は何だか照れくさくなってしまって視線を逸してしまう。
「でも、こういうことなのね。普通に歩いていると罠に掛かることが多いから壁際を意識した方がいいんだ」
「う、うん。そうなんだよ。何はともあれエクレアが無事で良かった。じゃ、じゃあ行こうか」
「うん!」
「スピィ~♪」
スイムも怪我が無くてよかったねと言ってくれてるようだよ。
そして僕たちは一層の探索を続ける。
「そこの壁、ちょっと気になるかな――水魔法・放水」
暫く一本道が続いて、違和感を覚えたから魔法で勢いをつけて放水。すると壁から槍が飛び出した。
「ネロってば凄い。もしかしてダンジョン慣れしてる?」
エクレアが目を丸くさせて聞いてきた。う~ん確かにダンジョン探索自体は初めてじゃないしね。
「前のパーティーにいた時、色々教えて貰ったんだ。それでかな」
ガイ達のパーティーにいた時に何度かダンジョンに潜ってる。今持ってる杖はその時の戦利品だ。
ガイはダンジョンの罠を見つけるのが得意だったんだ。フィアがガイは性格が捻くれてるから罠を仕掛ける相手の気持ちがわかるんだね、なんて皮肉を言っていたっけ。
でも、そのおかげで何となく僕も罠のある場所がわかるようになった。しかも今は水の魔法も強化されてる。
上手く使えば離れた場所からでも今みたいに罠があるか確認出来るんだ。
「分かれ道だね」
「うん」
一層を暫く探索しているけど、途中途中で分岐があったりする。今回はこのまま直進するか左に折れるかといった分岐だ。
「ネロはどっちがいいと思う?」
「う~ん――」
エクレアから意見を聞かれた。僕の方がダンジンに慣れてると思われたのかも。
「――じゃあ左に行ってみようか」
「うん。じゃあそっちね。何が出るかな~」
「スピッスピィ~♪」
エクレアもスイムもワクワクしてる感じだ。ダンジョン探索を楽しんでるみたい。
でも間違ってたらどうしようってちょっと不安もあったり……この場合の間違いというのは危険なトラップがあったり歩き回った挙げ句行き止まりだったみたいな場合。
勿論そういった経験もダンジョン探索の醍醐味だけど、それで何かあったら目も当てられない。特にエクレアは何があっても男の僕がしっかり守らないと!
「ネロ、間違いないかとか気にしないでいいからね。それに何かあったら私がネロを守ってあげる」
「えっと……」
「ネロは魔法タイプだしね。壁役は任せてよ!」
エクレアが自分の胸をドンっと叩いた。揺れが……いやどこみてるの僕!
でも逆に守ってあげると言われちゃった。確かに僕は水の魔法師になるから戦士タイプのエクレアがこういうのも必然なのかなぁ。
そんなことを思いながら歩いていると前方に魔物の姿!
「来たね。このダンジョンで初めての魔物だ――」
おまけ
探索の途中――
エクレア「見て宝箱だよ!」
ネロ「本当だ何が入ってるかな?」
エクレア「あけてみよ♪」
ネロ「うん。えっとなにこれ紙切れ? 何か書いてるね」
――フォローと★を付けてもらえると嬉しいです。
エクレア・ネロ「「なにこれ?」」
「スピィ~スピッ(宜しくスピッ)」
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