第14話 ギルドに報告
「えぇ! そんな魔物があの森に~~~~~~~~!」
ギルドに戻ってブルーフォレストで起きたことを話すと、フルールに随分と驚かれてしまったよ。
やっぱり普段は姿を見せない種らしい。
「えっとそれで魔石を保有していたので持ってきたけど解析する?」
「勿論よ! 内容次第では今回の依頼分とは別に報酬が出るわよ」
僕はあの魔物から手に入れた魔石をフルールに渡した。追加報酬が出るなら凄く助かる。
「でも、それをえっとネロくんが倒しちゃったの?」
「うん。水魔法でね。工夫すれば十分戦えるんだよ」
フルールにそう説明するも彼女はまだ半信半疑な様子だ。でも、事実魔石もあるしね。
「水魔法で戦えるなんてちょっと信じがたいけど……とにかくそっちは解析を待つわね」
「うん。あ、それとブルーローズだよね」
「そうね。あれ? でも袋を持ってないわね?」
フルールが首を傾げる。預かっていた袋はスイムの中だからね。ブルーローズを2500本も採取したら普通は中身がパンパンに詰まった袋を背負ってるだろうから不思議に思うのも仕方ないかな。
「実はスイムの中に取り込んでもらったんだ」
「スピィ」
「え? す、スライムの中に? そんな力を持つスライム聞いたことがないけど……」
言われてみれば僕も知らない。そもそもスライムについてそこまで詳しくなかったからね。単純に凄いなぁと思った程度だ。
でも魔法の袋とか普通に買ったらお値段が張る。確か100キログラム入る魔法の袋でも200万マリンはするはずだ。
そう考えたらスイムの力は凄いね。今はまだブルーローズを入れてるだけなんだけど雰囲気的にまだスイムには余裕があるし。
「う~んとりあえずその数はここだと置けないから倉庫まで来てもらっていいかな?」
「はい」
「スピィ~♪」
「……あ、あの倉庫まで私が抱っこしてもいい?」
フルールがスイムを指差しながらお願いしてきた。勿論それぐらいなら問題ないよね。スイムも嫌がってないし。
「はぁ幸せ~」
「スピッスピィ~♪」
移動しながらフルールがスイムに頬ずりしているよ。スイムはぷにぷにな上にひんやりしていて触り心地がいいんだよね。
倉庫はギルドと直結していて一階の廊下に出て裏口から入れるようになってる。
「おう。何だ仕事か?」
倉庫に行くと髭を伸ばしたおじさんがフルールに問いかけた。ここの倉庫番を任されている職員だ。
「おお、ブルーローズか。確か2500本だったか。それでどこにあるんだ?」
「フルールさん。スイムいいかな?」
「あ、そうだったわね」
フルールが名残惜しそうに僕にスイムを戻してくれた。よほどスイムが気に入ったんだね。
「そのスライムがどうかしたのか?」
倉庫番の職員が不思議そうにしている。
「スイム。ブルーローズをここに出して貰っていい?」
「は? 何言ってるんだ? スライムにそんなまね出来るわけがない」
職員が眉を寄せて言う。ブルーローズとスイムが結びつかなくて困惑してるのかもね。
「スピ~」
そんな職員の目の前でスイムがぷくーっと膨れ、かと思えばブルーローズ2500本を床に置き飛び退いた。
僕が危ない時クッションになって助けてくれたときも膨張していたね。だけど今回は戻っても小さくなってない。
ということはスイムに掛かった負荷が関係しているのかな。あの時はかなりの衝撃だっただろうし。
「お、おいおいマジかよ。こんなこと出来るスライム俺は初めて見たぞ」
職員も随分と驚いているみたいだ。やっぱりスイムは珍しいスライムなのかななぁ?
「こんなことで驚いていたらこの先大変よ。ネロくんブルーフォレストで見たことないような魔物を退治したんだから。しかも水魔法で」
「は? いやいやそれは嘘だ。水属性は戦闘は出来ない不遇な属性だろう?」
うん。やっぱりこういう反応だね。水はやっぱり戦える属性じゃないというのが大半の人の考えだ。
「私もびっくりしてるのだけど実際に魔石も持ってきているから……」
この様子だとやっぱりフルールも完全に信用はしてくれていない感じかな。
「あの。実は水は重いんですと言ったらどうします?」
「は? 何言ってるんだ? 水に重さなんてあるわけないだろう。だから攻撃には使えないんだからよ」
あぁやっぱりそういう考えだよねぇ――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます