第351話
案内された個室でレイチェルさんに攻撃されたことを報告した。
「…………そうですか。防御ラインの内側を飛行していて魔法攻撃が…………」
地図上のおおよその位置を指し示しながらの説明に、思案顔をするレイチェルさん。
俺の話を聞いても特に驚くようなそぶりは見せない。
「魔族でしょうか?
イズフール川沿いの防衛は、どうしても防御陣の途切れる東側が手薄となります。
監視の目を逃れた個体が、あの辺りの森に潜んでいるのかもしれません」
「攻撃を受けた身としては、あの魔法は魔族ではなく人間が撃ってきたように感じました」
「人間が、ですか…………」
断言したいのだけどそれはできない。
いくら地図(強化型)スキルによって犯人が人間だと確定していても、それを他人に対して立証することができないのだ。
もちろんスキルの存在そのものを知られるわけにもいかない。
「とりあえず攻撃を受けた一帯の森を捜索してみましょう。
魔族なら見つけて討ち取ってしまえばそれで終わりですし、仮に人間だとしても何らかの痕跡が残ってるかもしれません」
こういう暗殺とかをするような人間が証拠となる物を残すとは思えないが、それはあくまでも現代価値観に染まっている俺の勝手なイメージでしかない。この世界というかこの時代では、意外とその辺がルーズな可能性は十分にあり得る。
それに犯人が野盗やその他犯罪者だった場合は、物証を残そうが気にしないだろう。
「捜索は冒険者に依頼を出すのですか?」
「いえ、伝令を飛ばして前線の部隊に捜索させます。
今から冒険者ギルドに依頼を出しては時間がかかりますし、ここ商都から現地までも距離があります。
魔物も撤退しましたので前線も対応可能でしょう」
「なら自分が伝令として前線に行きましょう」
俺が持ち込んだ問題だしな。
「とんでもない!? ツトム殿にそのような雑事をして頂くわけにはまいりません!!
高級宿を取りますので、どうぞそちらでお休みを…………」
むむっ?!
急に俺をもてなそうとする感じを出してきたぞ。
「もしツトム殿がお望みでしたら、奇麗
奇麗処って要するに美女に接待させるってことか!
興味がないと言えばウソになるが、どうせ若い子を集める感じなんだろうなぁ。
第一、バルーカから正規の援軍として来ている以上は、それに相応しくない振る舞いをするわけにはいかないのだ!!
「これ以上お手伝いすることがないのでしたら、バルーカに帰還したく思います。
緊急に飛んできましたので、家の者も心配しているでしょうし」
家族と言わないのがミソだな。
他人が聞けば家族と捉えるが、俺自身はウソを吐いてないという。
「そうですか。
閣下(=クリュネガー軍司令)もツトム殿と会食なさるのを楽しみにしておられましたが」
「クリュネガー司令には、色々と便宜を図って頂けたことを深く感謝しますとお伝えください」
「かしこまりました。
我が国もいずれ正式に使者を遣わすことになるかと思いますが、グレドール伯爵にはクリュネガー司令を筆頭に司令部一同、深く御礼申し上げますとお伝えください」
「確かに伝えます。
レイチェルさんもこの2日間ありがとうございました」
「こちらこそ。
ツトム殿もまた商都にいらした際には、この司令部に寄って私に声をかけてください。
今度は商都をご案内しましょう」
「楽しみにしていますね。では」
レイチェルさんと握手を交わしてから商都を飛び立った。
…
……
…………
バルーカに到着したのは夕方になる少し前だった。
「ただいま~」
「…………」
家に帰ると、珍しくルルカの出迎えがない。
すぐに奥からドタドタと音が聞こえ、
「ツ、ツトムか! 早かったな!」
ディアが慌てた感じで奥から出てきた。
「魔物が早くに撤退してな。
ルルカ達は?」
「ロザリナと買い物に出掛けているぞ。
!? ケガしてるのか?」
革鎧の破損に気付いたか。
ディアには過剰に心配しないように言ってはあるが、そういった気質はすぐに変えれるものでもないか。
「ケガはしてないから安心しろ。
大体俺が回復魔法を使えるのは知ってるだろうに」
「そ、そうだったな」
「俺はこれから城に報告に行くが、ルルカが帰ったらワナークは無事だと伝えてくれ」
「ん、わかった」
待てよ。別に1分1秒を争うような報告でもないし、
「ディア、来い!」
「オ、オイ!?」
ディアの手を引き風呂場へと移動する。
「城に報告に行くのではなかったのか?」
「偉い人と会う前に旅の汚れを落としたほうが良いだろう」
まぁ別に浄化魔法で十分なんだけど。
「確かにそうか」
納得したのか素早く服を脱ぐディア。
もう少し色っぽさを意識して脱いで欲しい。
魔法で風呂を準備してから俺も服を脱ぐ。
ディアも大きな胸を揺らしながら、甲斐甲斐しく手伝ってくれるが、
「この服もボロボロじゃないか」
浄化魔法で汚れは落としてあるのだが、傷やほつれた箇所はどうにもならない。
こういうボロになった衣服は古着屋が買い取ってくれる。
大した値段にはならないのだが、捨てて終わりより必要な誰かに買われたほうが経済も回るし良いことではある。
「私が直しておこう」
「できるのか?!」
「
ロザリナは出来ないと思うぞ。
ルルカはどうなんだろう?
3人の中で最も主婦としてのスキルが高いのはディアなんだよな。まったくもってそんなイメージはないが。
ディアが自らの身体に石鹸を塗りたくり、エロ椅子に座った俺へと密着して来る。
た、たまらん…………
この女体の柔らかさに包まれるような感じは、長身のディアならではのプレイだ。
されるがままから思わず手を伸ばしてしまう。
「こら! まだ洗っている途中だろう」
構わずにディアのエロボディを堪能する。
「…………仕方ないな」
ディアが俺の下半身に手を伸ばしてきた…………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます