第213話
2人と俺をしっかりとロープで結んで拠点へと飛ぶ。
こんな短距離でロープを使う必要などまったくないのだが、ロザリナが飛行魔法での移動が初めてなのと高所が苦手ということもあり安全性を最優先した。
初めて2人を同時に抱えて飛ぶが、衣服越しに感じられる女体の柔らかさや胸元から覗ける山々とその谷間、抱えている手から伝わるお尻の感触が凄く新鮮だし淫靡だ。思えば普段着のままするということがあまりなかったな。大抵風呂で裸になってそのままの流れで寝室(=俺の部屋)だし。
ゆっくり飛んでいるのだが、距離が近いのですぐ着いてしまう。
「ロザリナ、着いたぞ」
目をつぶって俺にしがみ付いているロザリナを離してロープをほどく。
ルルカは王都と実家への2度の長距離飛行で慣れているので着地する直前にはロープをほどき終えている。
「す、すいません……」
「飛行中の空からの景色を楽しめるようになればいいのだけどな」
「地に足が着いてない恐怖でそのような余裕はとても……」
「今後のことを考えれば今の20倍は飛んで移動できるようにならないとな。飛ぶ機会を増やして慣れていくしかないだろう」
「が、がんばります!」
体育系なロザリナのことだし何とかなるだろう。
狩りに行く時に支障をきたさない程度で十分なんだ。長距離飛行の場合は途中休憩を多めに取るなりして対応すればいい。
「ツトムさん、もしかしてあれが……?」
展望台から空に向けて伸びる階段の先を指差している。
「空中露天風呂だ」
「あんな高いところに」
「ちょっと待ってろ」
露天風呂へ飛び、先ほど入れた水を温める。屋外なので普段より熱めにする。
ランプを置いて強風で飛ばされないように土魔法で固定する。
下に戻ってここにも同様にランプを置き、
「ここで脱いでくれ。服は収納に入れるから。
風に気を付けてゆっくり昇っていくように。
万が一の為に俺はここで待機しているから安心してくれ。
まずはルルカからだ」
ここで待機するのはもちろん裸で階段を昇っていく2人を下からじっくりねっとりと凝視する為だ。
しかし実際に落下事故が起きたらどうしよう?
飛行魔法の全速なら助けられると思うが、一瞬でも躊躇したりするとアウトだ。
落ちてからではなく、危ないと思った時点で飛んで対応すればまず大丈夫だろう。
ルルカが脱いだ衣服を俺に渡してきた。
もう見慣れた裸体ではあるのだが、屋外であることとルルカだけが裸な状況に新鮮な興奮を覚える。
「あの……、わざわざ階段を昇らなくても飛んで連れてってもらえれば……、危なくもありませんし……」
なんてことを言うんだ!!
俺がなんの為にこんな苦労をしていると思っている!!
「自分で階段を昇って高さを実感して欲しいんだ。
せっかくあんな高いところに風呂を作ってわざわざ階段まで用意したのだからな!」
「わ、わかりました」
さすがのルルカも俺の正論に素直に従い階段を昇っていく。
星空をバックに白い裸体が上がっていく光景は素晴らしいとしか言いようがない。
この瞬間を記録できないのが非常にもったいない!
携帯でもあればなぁ。
写真かビデオカメラと同機能の魔道具がないものだろうか? もしそんなのがあるならどんなに高価でも手に入れるのに!!
ルルカは頂上に辿り着き手で湯の熱さを確かめている。
「次はロザリナだ」
「はい」
怖がって昇れない場合は俺が連れて行くことを想定していたのだが、ロザリナは脱いだ衣服を俺に預けてスタスタと階段を上がっていく。
スポーツ体型なロザリナの裸体もルルカとは違った趣があって素晴らしいのだが、あっという間に階段を昇り終えてしまった。
俺は慌てて服をしまって階段を昇った。男の場合はブラブラして間抜けな光景なんだが、ルルカにああ言った手前飛んで行く訳にはいかなかった。
「空中露天風呂はどうだ?」
「こんな星空の中でお風呂に入れるなんて夢みたいです」
「私は外で湯に浸かること自体が初めてですので、なんと申し上げるべきか……」
「ロザリナはこの高さでも平気なのか?」
「足がつける状態ならば高いところでも平気です」
そんなものなのか。
「2人ともこちらへ」
両手に美女2人という家の小さな風呂ではできなかった形だ。
「あちらがバルーカでしょうか?」
「方角的にはそうだな」
街や城の灯りはここからでは見えない。
ぼんやりとした明るさがわずかに見れる程度だ。
星明かりだけでは景色を楽しむことができないか。
せめて月明かりでもあれば…………ってあれ? 月がない?! んなバカな!?
確か異世界に来た初日の夜に確認したぞ。小さかったけど変な色でもないちゃんとした月を。王都への護衛で野営した時もあったはずだ。
でもルルカを実家に送った旅程で野営した時はどうだったか……南砦から家へ一時帰宅する際も夜間だったが月はなかったな。一体どういうことだ?
2人に聞くべきなのだがどうやって聞くか……、月のことも知らないなんて絶対怪しまれるぞ。
むむむ……
「どうかされましたか?」
左にいるルルカが豊満な胸を押し付けながら(普通に俺のほうを向いただけなんだけど)聞いてきた。
「いや、月明かりがあればもう少し眺めも良かったのにと思ってな」
「そうですね。一月前に月閉まいしてしまいましたので」
なんとか自然に月を話題にすることができたが、また知らない言い方が出てきたな。
ここは素直に聞くか。
「月閉まいってなんだ?」
「えっと、月が見えなくなることを月閉まいと言います。
その後9ヵ月経って再び月が見えるようになることは月開きです」
「この国ではそういう言い方をするのだな」
無難に話を合わせたけど、どういうこと?
「ツトム様、この国に限らず南部3国と帝国で共通の言い回しかと」
「そうか……」
おそらくは、この世界で月と呼ばれているのはこの星の衛星ではないのだろう。
年に3ヵ月だけ最接近して夜空に大きく輝く惑星を月と呼称していて、それ以外の9ヵ月は無数の星々に紛れるのだ。
「なんにせよ次は明るい内に来ることにしようか」
「楽しみですね」「是非ともそうしましょう!」
夜空を背景にした裸体を見れないのは残念だが、明るい内から屋外で見る裸体もきっと良いモノに違いない。
屋外で2人と体を密着させながらの風呂にいつもなら興奮度マックス状態のはずなのだが、俺のモノはもうひとつ元気がない。
ワナークからの帰りの途中でルルカにたっぷりと搾り取られたからだ。
しかし、せっかくのシチュエーションだというのにしないというのはもったいないので、なんとか頑張って1回した。
今日の朝以降相手していないロザリナをメインで抱いたのだが、途中からルルカが不満そうだった。数時間前にあれだけたくさんしたのにどういうことっ?!
風呂上りは階段を降りてくる裸体を凝視するイベントである。
昇る際は後ろ姿だったが、今度は前を見れるので揺れる様子を余すところなく観察できる。
階段下の展望台に降りて服を着て、降りてくるよう手で合図をする。
今度はロザリナが最初のようだ。
昇りの時と同じくロザリナはスタスタとあっという間に降りてきた。
タオルと衣服を渡す。
ちゃんと揺れてるところは見えたのだが、こんな短時間だと余韻も含めてあまり楽しめない。
次はルルカだが……
!?
腕を胸に添えて隠しつつ抑えながら降りてくる。
行きは両手で手すりを掴みながら昇ったのに帰りは片手だけだと?!
まさかとは思うが俺の思惑が読まれているのでは? ルルカならあり得るが…………
ん?
半分ぐらいまで降りてきて止まったぞ!?
こちらをジッと見て……なんだ??
!!!
胸に添えていた腕で手すりを掴んだ!
露わになった巨峰を隠す素振りも見せず、ゆっくりと降りてくる。
ルルカが階段を一段降りる度に揺れる光景はエロさすらも超越していて見入ってしまう。
呆然としながらも至福の時間を味わっていた俺は、ルルカが目の前まで来たのに気付き慌ててタオルと服を渡す。
「お楽しみ頂けましたか?」
俺の耳に顔を近付け直接囁いたルルカの声は妙に艶っぽかった。
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