第73話

 翌朝まずは壁外ギルドに行きミリスさんがいないか確かめる。

 受付にはいなく奥の事務スペースにいたので呼んでもらった。


「ツトムさん。おはようございます。いかがなさいましたか?」


「ミリスさんおはようございます。実は相談というか聞きたいことがありまして……」


「わかりました。こちらに」


 個室に案内された。察してくれて助かった。


「まずは昨日城内ギルドのほうで5等級に昇格しまして」


 冒険者カードを見せる。


「それはおめでとうございます。つい先日7等級になられたばかりですのに早いですね」


「ありがとうございます。こちらで手続とか必要ですか?」


「特には。依頼を受ける時などに書類に記述して5等級に分類するだけですので」


「そうですか。えっとここからが本題なのですが、依頼を出してギルド職員を調査することは可能でしょうか?」


「職員を、ですか……、そのような依頼は聞いたこともありませんが、可能かどうかで言うのならば可能ではあります。しかし……」


「匿名での依頼は可能ですか? 自分の名前をこの件に関して記述して欲しくないのですが」


「それも可能です。匿名希望の依頼はたまにありますので。追加料金が1,000ルク掛かります」


「ではこのまま依頼の受付をお願いできますか?」


「わかりました。しばらくお待ちください」


 ミリスさんが個室を出て行った。

 依頼を出せばそれなりの情報は得られるだろう。

 別に奴の正体とか秘密がわかるとは思っていない。

 判断しようにも何も材料がないのでその取っ掛かりが欲しいだけなのだ。とりあえずは。

 俺が身辺を探っていると気取られるのが嫌なので、プロという訳ではないが情報収集の得意な人に動いてもらうのだ。


「お待たせしました。まずは調査対象者を教えて頂けますか?」


「城内ギルドで昨日5等級昇格試験の審判をしていた人です。名前はわかりません」


「調査の依頼は指名しますか? それとも募集しますか?」


 募集はダメだろう。いくら匿名にしても多くの人の目に触れればリスクが上がるだけだ。


「指名したいのですが心当たりがなくて。城内ギルドに詳しくて調査能力の高い人をどなたか知りませんか?」


「5等級パーティーに当てがあります。調査する内容はどうしますか?」


 調査依頼もパーティー単位でやるのか。

 成功率が上がる分費用も上がる感じか。


「基本的な名前・年齢・経歴・戦い方などさえ押さえてくれれば後はお任せで」


「そうしますと調査日数で区切ったほうが良いでしょう。3人パーティーですので1日の報酬が15,000ルク、別途調査費用として5,000ルク必要となります。内容からして2日か3日調査すれば十分かと思いますが」


「なら3日間でお願いします」


「調査結果の報告は口頭で行いますか? それとも書面で済ませますか?」


 口頭だと匿名にした意味がないような。

 身元がバレない工夫はこちらでしろということか。


「書面でお願いします」


「では報酬が45,000ルク、手数料が15%ですので6,750ルク、調査費用が5,000ルク、報告書の作成費用で2,000ルク、指名料及び匿名依頼料がそれぞれ1,000ルクとなりまして合計で60,750ルクとなります」


 予想していたより倍近くの出費だ。

 昨日賭けで儲けてなかったらもっと費用を抑えただろうな。


「結果は最短で4日後、指名されたパーティーが別の依頼を受けていた場合は日数が伸びますし、依頼を断る可能性もありますので注意してください。その場合は全額返金致します」


「数日後に様子を見に来ますね」


 王都から戻った時に来れば丁度いいな。


 所持金267万2420ルク→261万1670ルク




 ギルドを出て城内のノーグル商会に行き紹介状を書いてもらった。

 やはり支店長では直接王都の貴金属店を紹介することはできず、王都にあるノーグル商会の本店宛の紹介状になった。

 そしてプリンとアイスクリームは明後日から試験的な販売を始めるとのことだ。

 初日は赤字覚悟で激安販売するらしい。




「ロザリナ、金はまだあるか?」


「特に使っておりませんのでまだ十分残っています」


 帰宅し冷蔵庫から昨日作ったプリンとアイスクリームを収納に入れる。


「冷蔵庫に残した菓子は好きに食べていいからな。中の氷が溶ける前に食べ切るように」


「わかりました」


「酒も置いていくから好きに飲んで良いぞ」


「ありがとうござ…んっ……」


 ロザリナを抱き寄せその舌を思う存分堪能する。


「後を頼むな」


「は、はい。お気を付けて」


 念の為にルルカとロープで体を繋ぎ、


「では行くか!」


「はい!」


 家の庭から一気に飛び上がった。




 1時間弱飛び北の街ドルテスを少し過ぎた草原で一旦降りた。

 初めての2人飛びなので速度を抑えたのと街道沿いに最短距離で飛ぶのではなく迂回したので時間が掛かった。

 街道沿いを飛ぶのを避けたのは余計なトラブルに遭うのを防ぐ為だ。


 土魔法で簡単な小屋を作りベッドも用意する。

 しまったなぁ。布団一式持ってくるべきだった。

 仕方ないので以前に購入した寝袋で代用した。


 服を脱いで寝袋に入る。

 ルルカも服を脱ぎ出すが……


「このような場所でよろしいのでしょうか?」


「ここらはただの草原だから平気だぞ」


 敵感知に何も反応ないしな。

 仮に魔物がいたとしても俺の魔力で作られた小屋をどうこうすることはできない。


 ルルカは焦らすように服を脱いでいく。

 意図的なのか無意識なのか……

 今日は下から脱ぐようだ。

 ややダボっとしたパンツを脱ぐと白く大きなお尻が出てきた。

 手を伸ばしてサワサワと撫でる。

 いい感触だ。

 しかし……

 最初の頃とは違い、俺が唐突に触れても何も反応しなくなったのは寂しい限りだ。

 もちろんピンポイントで触れば反応はあるのだが、それだと単なる肉体反射のようで面白くない。

 こう、こんなところで触れてこないだろう的な状況で触れるのが一番なのかも……

 ハードルは高いが。


 ルルカは上のシャツを脱いで大きな胸を露出させる。

 脱いだ際の揺れる様子は見事としか言い様がない。


「失礼します」


 1人用の寝袋に2人はかなりキツイものの、その分2人の密着度は高くなる。


「今後はたまに屋外でするのもアリだな。ルルカはどう思う?」


「んっ……、外だとツトムさんと2人きりになれますので……」


「ので?」


「わ、私も外でしたい、です」


 その答えに満足な俺は引き続き密着感を大いに楽しんだ。

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