プロローグその2
「グウッ!」
「!?」
なんだ?
左手から犬が近付いてくる。
「あまり友好的な感じはしないが…」
「ガウッッッ!!」
いきなり襲ってきやがった!!
なんとか躱すが……
????????
やばいやばい、どうすればいい?!
武器なんかないし魔法もどう使うかわからん!
いきなり大ピンチ……
こういう時に取るべき手段はただひとつ!
逃げる!!
オレは前方の森に向かって走り出した!
地球にいた時の30歳の運動不足の時よりは軽快に走れるが、後ろから「ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!」と犬が追ってくるので15歳の運動能力を確認する余裕がない!
森の入り口に辿り着き、落ちてる木の枝の中で尖ってる真っ直ぐなのを飛び掛かってくる犬に向けて全力で投げる!
「グギャ?!」
上手く口の中にヒットしたらしい。そのまま犬は動かなくなった。
「はぁ、はぁ、」
危なかった。
「これが魔獣との戦闘か……」
そのまま放心してるとふと表示したままのステータスウインドウが目に留まった。
川端努 男性
人種 15歳
LV2
HP 15/15
MP 50/50
力 8
早さ 8
器用 8
魔力 15
LP 1P
スキル
異世界言語・魔法の才能
「レベルが上がってるな。お! LPが1Pになってる。レベルアップでPがもらえるならLPは『レベルポイント』だろうか?」
どうやって使うのだろうか?
念じても反応ないし、LPの項目に触ってみると、
!?
次の項目が表示された!
これはゲームでよく見るスキルツリーみたいだ。
一番左に並んでいるスキルを取得すればそこから線が伸びてる次のスキルが開放されるタイプだ。
魔法や武器関連の他、ステータスなど色々な項目がある。
最初に選ぶべきは……、これだろう!
『収納魔法』
武器スキルは武器自体がないので意味ないし、魔法を取得したとしても実戦で使えるレベルなのかどうかがわからない。
現状無一文なので倒した魔物は売却できることを願って確保しておきたいのと、現在唯一の武器である木の枝や棒をたくさん所持しておきたい。
収納魔法から伸びてる線はないので派生スキルには繋がらないが、このスキルを獲得すべきだろう!
収納魔法をタップするとLPが1Pから0Pになり、
川端努 男性
人種 15歳
LV2
HP 15/15
MP 50/50
力 8
早さ 8
器用 8
魔力 15
LP 0P
スキル
異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv1
収納魔法をゲットできたらしい。
試しに先ほど倒した犬を収納してみる。
色々試した結果、対象に触れた状態で収納と念じるとアイテムボックス的なとこに収納されるらしい。
取り出すには対象を思い浮かべて出す場所を指定するか、スキルにある収納魔法をタップするとリストが表示されるのでそこから選ぶのでもいいみたいだ。
とりあえず武器になりそうな木を収納していく。
竹が生えてれば竹槍として使えるのに。
細めの木を足で蹴って何とか折り、枝を折って取り払う。根元のほうが太くて使い辛いが木槍として使おう。
他にも石とか収納してると、
ザッ!
今度は兎か!
兎にしては妙にデカいし頭に角が生えてる。
突進してくる兎に向かって犬の時みたいに木の枝を投げつける。
!?
角で弾きやがった!!
そのまま迫ってくる角を紙二重ぐらいで躱して収納から出した木槍で横から兎を突く!
即死らしく断末魔の叫びもなく地面に落ちた。
危なかった……
枝投げが通用したのは犬が口を開けて突っ込んできたからだ。
兎の死体を収納するとまた兎が現れやがった!
今度は落ち着いて対処していく。
余裕を持って角を回避して一突きで仕留める。
森の近くはエンカウント率が高いのだろうか?
とりあえず森から離れ草原の中にある小高い丘に向かって歩いていく。
ステータスを見てみるとまたひとつレベルが上がっていた。
川端努 男性
人種 15歳
LV3
HP 20/20
MP 70/78
力 11
早さ 12
器用 12
魔力 22
LP 1P
スキル
異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv1
ステータスの上がり幅は一定の法則がある訳ではなさそうだ。
敢えて言うなら魔法の才能のおかげで魔力とMPが上がりやすいぐらいか。
さて……、LPをまた1Pゲットしたので新しいスキルを覚えられるのだが……
ここで『先読みのトム』と呼ばれる(←自称である)智謀を披露せねばなるまい!!(←初めての戦闘を経験しておかしなテンションになってるらしい)
現在の目的は人里に行くことである。
その為に有効なのは『地図』のスキルなのだが、このスキルツリーはスキルの説明が何も表示されないので、実際に使用してみないと性能がわからないという大問題がある。
グー〇ルマップみたいな高性能さは望むべくもないが、最低でも半径10キロぐらいは表示されるタイプが望ましい。自分が移動する周辺しか表示しないタイプだと現状では死にスキルになってしまう。
ポイントに余裕を持つまではハイリスクと言えよう。
次に喫緊の課題として水の確保というものがある。
人間2~3日食べなくても死にはしないが、水分はそうはいかない。
先ほど水魔法を試してみたのだが上手くいかなかった(MPが少し減ってるのはそのせい)
『魔法の才能』があれば魔法関連のスキルを覚えやすいとかないだろうか?あるといいな。
という訳でギリギリまでポイントを消費せずに水魔法習得を目指すべきだろう。
最後のスキル候補は『回復魔法』である。
こんな孤立無援状態での負傷は死と同義である。
特に兎の角がヤバイ。
体のどこに当たろうが大ダメージ確定である。
ダメージさえ受けなければ必要性は低いので保留とする。
結論としてはどのような状況にも対応できるようにこの1Pを保持したまま次のレベルアップを目指すべきということになるな!!
…
……
…………
襲ってきた犬を枝投げでなんなく倒し丘に向かって歩いて行く。
LPを消費してしまった焦燥感からか歩く速度が速くなる。
そう、温存する方針だったLPを使ってしまったのだ!
獲得したスキルは『浄化Lv1』
歩いている内に大を催したので大きな葉っぱを集めて致したのだが、葉っぱの手触りの段階で嫌な予感がした通り葉っぱで拭くのは無理だった。
スボンとパンツを下ろした無防備な体勢を続ける訳にはいかず浄化魔法を取得して対処した。
初めて使用した魔法で尻拭きしたのは残念な気持ちがあるが致し方無い。
ここは気持ちを切り替えて丘を登る。
丘を登り終え、高所から辺りを見回すが草原と森の景色に変化なしだった。
これはいずれかの方角を決めてそちらに進む危険な賭けに出なければいけないのだろうか?
いや、焦るな。
もう一度じっくりと遠くを重点的に見てみよう。
両手を丸めて双眼鏡のようにしながらじっくり見てくと微かに線のようなものを発見した!
「道か!?」
道かどうかはわからないが、線のようなものは幾度見ても確認できる。
一応念の為にそこ以外の方角もじっくりと観察して何もないことを確認する。
唯一の手掛かりである以上線のようなもののところに向かうべきだろう。
太陽の位置からそれが北西の方角であるのを確認して、
と、と、落ち着け。
ここは少し休憩しながらもうひとつの課題である水問題=水魔法の習得に挑戦すべきだ。
現在のステータスは、
川端努 男性
人種 15歳
LV3
HP 20/20
MP 65/78
力 11
早さ 12
器用 12
魔力 22
LP 0P
スキル
異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv1・浄化魔法Lv1
念の為にMPを30ほど残す感じで水魔法を試してみよう。
水、水と念じても何も起きずMPが2ずつ減っていく。
英語のほうがいいのかと、ウォーターと念じても変化なしだった。
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