第63話

 近くにある死体を回収しながら生き残りの魔物の首を風刃で落していくが、ずっと続いている砦からの弓矢攻撃が邪魔だ。


 狙ってみるか。

 砦の防壁の上から3体のオークアーチャーが弓を射ている。

 威力ではなく速度を重視して小さ目の土槍(回転)を防壁上のアーチャーに向けて撃った。


 外れた。いや、避けられたのか。

 倒すだけなら魔盾で弓矢を防ぎつつ近付いて風刃で仕留めればいいのだが……

 今後のことも考えれば、長距離の狙撃もできるようになったほうがいいだろう。

 土槍を更に小さくして複数発射する。

 今度は当たった。

 残りの2体も数でゴリ押しして倒した。


 これはスマートに倒したとは言い難いな。

 単体の魔物に対する狙撃は改善の余地ありだ。


 これで砦の西側にいる魔物は北門と南門付近にいるのを除いてほぼ片付いた形だ。


 死体と武具の回収作業を始めるが……、何体あるんだ? これ。

 いちいち手で触れて回収していくのが非常に手間が掛かる。

 一気に回収できる何か上手い方法がないものだろうか?

 念じてみたり色々試すがどうにもならない。

 魔法もそこまで便利にはならないということらしい。

 

 結局防壁の上にあるアーチャーの死体を除いて外にある死体と武具の回収に1時間近くを要した。

 戦っている時間のほうが圧倒的に少ないのもどうなのだろう?

 何事も後始末が大変だということなのかもな。


 それにしても収納魔法にはどれだけの物量が入るのか。

 魔物の死体だけで1000体超えているのだが……

 他にも切り刻んで薪にするしかないオークが使う棍棒も大量にある。

 武具もあるがこれは鍛冶屋に売るか。

 大きな岩を大量に持てるなら飛行魔法からの岩石落としができるな。

 いや、収納『魔法』だから他の魔法との同時使用はできないか。

 試しに少し飛びながら棍棒を出そうとしたがダメだった。

 まぁ目標の上空で飛行魔法を切って落ちながら岩石を出して再び飛べばいいだけだ。



 防壁のアーチャーの死体を回収してそのまま防壁の上を南門に向けて歩いて行く。

 北門に比べて南門の方が若干魔物の数が少ないからだ。

 砦の西側の魔物の数が激減したので砦内でも戦えるだろうと判断したのだが、中では建物に被害が出る魔法は使えない。

 ヤバそうなのが来たら飛行魔法で即逃げか外に誘導するかの2択だな。


 南門近くまで来て防壁上にアーチャーがいないのを確かめてから、上から見える範囲の魔物を風刃で倒していく。

 滞空魔法で下に降りて死体を回収した。

 ちなみに防壁の高さは6メートルほどだろうか。


 異変を感じたのか砦の奥から魔物が出てくるが、バラバラに出てくるので全て各個撃破である。

 地図(強化型)でこちらに向かってくる魔物が途絶えたことを確認して死体の回収を終わらせ一息つく。

 これで砦の半分は制圧出来た訳だが、この後どうするか……

 全部を制圧したところで自分1人じゃまともに維持できないし。

 考え事をしながら近くの建物に入ってみた。


「うぉ!!」


 もの凄い異臭がした。

 気持ち悪くなるレベルの猛烈な匂いだ。

 たまらず外に出た。

 砦の中の建物全部こんな匂いがするのだろうか?

 しかし以前に討伐したオークの集落はこんな酷い匂いはしなかったけど……

 オーク以外の魔物が原因なのだろうか?


 またレベルが上がったし酷い匂いで気分が悪くなったとこでもあり、キリが良いと言えばキリが良いか。

 今日はここらで切り上げることにしよう。




川端努 男性

人種 15歳

LV27


HP 324/324

MP 1428/3088


力  78

早さ 98

器用 104

魔力 342


LP 30P


スキル

異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv7・浄化魔法Lv7・火魔法Lv4・水魔法Lv1・風魔法Lv8・土魔法Lv8・氷結魔法Lv4・回復魔法Lv6・魔力操作Lv6・MP回復強化Lv6・MP消費軽減Lv6・マジックシールドLvMAX・身体強化Lv4・剣術Lv1・槍術Lv2・投擲Lv1・敵感知Lv6・地図(強化型)・時刻・滞空魔法・飛行魔法




 飛び上がって速度を上げ一気にバルーカへ。

 かなりの飛行速度が出ている。

 以前軍の人に抱えられて飛んだ時は新幹線ぐらいのスピードだったが、初めて人を抱えて飛んだからかどうも速度をセーブして飛んでたみたいだ。

 今はその時の倍近いスピードが出ている。

 その分消費魔力も大きいみたいだ。

 何も意識せずに飛ぶ通常飛行が新幹線ぐらいのスピードで魔力消費も1番少ない。

 後は意図的に速く飛ぶか遅く飛ぶかで魔力消費も大きくなる。例え遅く飛んでも魔力消費が少なくなるということはない。



 5分と掛からずバルーカに到達し、城の西側を抜けて右に曲がりギルドの解体場で降りた。

 解体場の職員に聞くとオークの値段は再び上がっており現在6000ルクで買い取っているという。

 オーク50体とコボルトを手持ち全ての63体売ることにした。

 どこで狩ったのか聞かれたが、収納に入れて価格が上がるまで寝かしていたと説明した。嘘は言ってない。

 オーガとマジックシールドを出す猿みたいなのの値段も聞いたのだが、オーガは5000ルクで猿みたいなのは買い取りしていなくて名前すら付いてないとのことだった。


 オーク50体で285000ルク

 コボルト63体で6300ルク


 以前死霊術について話してた職員を見かけたので大銀貨(1000ルク)を握らせて話を聞いてみた。

 死霊術は適性者が極少で扱える魔術士は更に少ない。

 初級者は魔物の死体を操るだけだが、上級者になると死体が自我を持って従うようになり複数支配下に置けるようになるとのこと。

 金級か銀級に死霊術を扱う冒険者がいるとの噂がある。

 王都にある魔術研究所でならもっと詳しい情報が得られる可能性がある。


 思っていた以上に有益な情報を得られた。

 礼を言って解体場を後にする。

 帰るにはまだ早いか……

 別に終業時間がある訳ではないし何なら休みまくっても問題ないのだが、自由にサボっていいとなると逆に勤勉になるという。

 まぁぶっちゃけ狩りは仕事という感覚ではやってないからなぁ。

 レベル上げなどの必要性があるのはもちろんだけど趣味に近い楽しさも感じている。

 依頼をこなすほうが仕事であるという意識は高い。


 帰るかどうかは掲示板を見て依頼を受けるかどうかで決めるか。


 所持金44万0520ルク→73万0820ルク

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